5. 【75歳以上・シニア夫婦】平均貯蓄は「2362万円」、預貯金・有価証券の割合は?

年金だけでは不足する生活費を補ううえで重要となるのが貯蓄です。

ここでは、75歳以上の世帯(平均世帯主年齢 80.6歳)の貯蓄状況を確認していきます。

総務省「家計調査 家計収支編 2024年〔二人以上の世帯〕」によると、世帯主が75歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2362万円となっています。

【グラフ】75歳以上「後期高齢シニア」二人以上世帯の貯蓄平均は2362万円

75歳以上「後期高齢シニア」二人以上世帯の貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 2024年 〔二人以上の世帯〕」(第8-10表)をもとに筆者作成

貯蓄:2362万円

  • 金融機関:2357万円
    • 通貨性預貯金:752万円(31.8%)
    • 定期性預貯金:815万円(34.5%)
    • 生命保険など:350万円
    • 有価証券:440万円(18.4%)
    • 貸付信託・金銭信託:6万円
    • 株式:238万円
    • 債券:41万円
    • 投資信託:155万円
  • 金融機関外:5万円

負債:23万円

一見すると「2362万円もあるなら安心」と感じるかもしれませんが、これは高額な貯蓄を持つ層が平均値を押し上げているためで、この水準に届かない世帯も多く、貯蓄額には大きなばらつきがあります。

老後が長期化する時代では、単に貯めておくこと以上に「資産寿命をどう延ばすか」が重要です。

特に、現在のようなインフレ局面では、預貯金は金額が変わらなくても実質的な購買力が目減りするおそれがあります。

そのため、インフレに比較的強い資産への分散投資など、リスクを抑えながら資産配分を見直し、物価上昇に負けない体制を整えておくことが大切です。

6. 毎月2万円超の赤字を埋める「資産寿命」の延ばし方

平均的な後期高齢シニア夫婦は、毎月約2万円の赤字を貯蓄の取り崩しで賄う必要があり、「資産寿命」を延ばす工夫が不可欠です。インフレによる預貯金の実質的な目減りを防ぎ、資産を守る対策が求められます。

「人生100年時代」を安心に生き抜くには、健康寿命と資産寿命をセットで考える視点が大切です。特に認知症による「資産凍結リスク」に備え、元気なうちに任意後見制度や家族信託などの法的な資産管理を検討することが有効です。

また、年金の繰下げ受給や老齢年金生活者支援給付金といった公的制度への関心も持ち、家族と協力して「もしもの時」の資金計画を整えることで、将来への不安を大きく和らげることができるでしょう

参考資料