12月に入り、年末の支給日である12月15日が近づいてきました。日本の公的年金制度は、老齢年金・障害年金・遺族年金の3つの給付があり、現役世代の保険料と国の税金によって支えられています。

公的年金の中でも、病気や障がいで生活に制約がある人を支えるものが「障害年金」です。しかし、障害年金は一度決まれば一生もらえるわけではなく、定期的な再認定や条件によって支給が変わるしくみになっています。今回は、最新の平均受給額や給付金の実態、そして制度のポイントをわかりやすく解説します。

1. 障害年金、障害年金生活者支援給付金と合わせて「支給額はいくら?」

障害年金は加入している年金制度により「障害基礎年金(国民年金)」と「障害厚生年金(厚生年金)」に分かれます。

障害年金は2階建て

障害年金は2階建て

筆者作成

たとえば会社員は両方、自営業の方は障害基礎年金のみが対象です。さらに、障害の程度によって受け取れる年金の種類も異なります。物価や賃金の変動に応じて毎年見直しされる障害年金の年金額ですが、令和7年度はいくら支給されるのでしょうか。障害基礎年金と障害厚生年金の年金額をみていきましょう。

1.1 障害基礎年金の金額

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)

障害基礎年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」

令和7年4月からは、1級が年額103万9625円(一部は103万6625円)、2級が83万1700円(一部は82万9300円)に設定されています。

昭和31年4月2日以降に生まれたかどうかで金額に若干の差があります。扶養する子どもがいる場合は加算があり、2人まで各23万9300円、3人目以降は各7万9800円が年金に上乗せされます。等級や家族構成によって受給額が変動します。

1.2 障害厚生年金の金額

障害厚生年金の年金額(令和7年4月分から)

出所:日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」

令和7年4月からの障害厚生年金は、主に会社員や公務員を対象とした制度で、基本的な年金額は、加入期間中の収入などで決まる「報酬比例」で算出されます。

1級に該当する場合は、この報酬比例額に1.25倍を掛けたうえで、配偶者がいると「配偶者加給年金」(年額23万9300円)が加算されます。2級も同様に加算が適用され、3級については報酬比例額のみが支給されますが、最低保障額として62万3800円(または62万2000円)が設定されています。

なお、3級の基準に満たない場合でも、一定の障害が残る場合には「障害手当金」という一時金が支給されることがあります。

1.3 障害年金生活者支援給付金「1級と2級で給付金額は変わる」

障害年金生活者支援給付金は、消費税増税(2019年)に伴う物価上昇の影響から、生活に特に配慮が必要な方の暮らしを支えるために設けられた制度です。この給付金は、障害基礎年金を受給している方のうち、所得が一定基準以下の方を対象として、通常の年金に上乗せして支給されます。

障害基礎年金を受給されている方へ

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」

月額支給額の目安(障害等級別)

  • 1級:6813円
  • 2級:5450円

このように、障害年金生活者支援給付金の月額は、障害等級によって異なります。例えば、扶養家族がなく、所得が一定以下である障害等級1級の障害基礎年金受給者で、障害基礎年金と障害年金生活者支援給付金を両方受給する場合、合わせて、年間およそ112万円を受け取ることになります。