4. 「個人向け国債」や「定期預金」以外のものに目を向けたいケースも

個人向け国債や定期預金は、安全性の高さに加えて金利が得られる点が魅力ですが、ほかの金融商品に目を向けたいケースもあります。

4.1 インフレ(物価上昇)リスクに対応したい場合

判断軸は「実質的な資産価値の維持」です。

インフレ下では、国債の利息収入(名目上の利回り)だけでは物価上昇には追いつけません。

資産の購買力が実質的に目減りする可能性があります。

リスクレベルは上がってしまいますが、より高いリターンやインフレ連動の仕組みを持つ他の金融商品(例:株式、投資信託、不動産など)の方が、実質的な資産価値を維持しやすい可能性があります。

4.2 少しでも高いリターンを狙いたい場合

判断軸は「機会損失リスクの許容度」です。

国債は安全性が高い分、利回りは低水準に抑えられがちです。

資金を国債に固定することで、高金利の個人向け社債、高配当株など、より高い利回りを提供している他の商品へ投資する機会を逃すリスク(=機会損失)があります。

5. まとめ

個人向け国債は、2024年3月のマイナス金利解除以降、適用利率が上昇傾向にあり、2025年12月募集分は全タイプが1%超と魅力を増しています。

資産の「守り」やポートフォリオの安定化を重視する層に最適といえるでしょう。

一方、購入後1年以内の解約不可、1年経過後の解約には直近2回分の利子相当額が差し引かれるペナルティがある点には十分にご留意ください。

短期間で資金が必要になる可能性がある場合は、定期預金の方が流動性・柔軟性で優位です。

また、インフレ対策やより高いリターンを狙う場合は、株式や投資信託といった他の金融商品を検討する機会損失リスクも考慮し、資金の使途と期間に応じて選択しましょう。

参考資料

和田 直子