4月3日は「資産形成の日」ということのようですが、皆さんの資産形成はどうされていますでしょうか。「お金の話は金融関係者に聞くのがいいのではないだろうか」とお考えの方も多いかと思います。

金融機関に勤務している人はどのような資産運用をし、また資産形成につなげているのかについて見ていきましょう。金融機関勤務経験者などのインタビューをもとにお届けします。

そもそも金融機関の関係者は株式投資してません

世の中、「貯蓄から投資へ」というスローガンの下、金融機関の預貯金を取り崩して、「株を買いなさい」というような風潮ですが、実は金融機関に勤務する人は株に投資をしません。

こういうと、「え?!株が一番儲かるときは儲かるのではないのか?」という声が聞こえてきそうですが、金融機関の関係者は株式を顧客にすすめておきながら、自分たちは大して株式を持っていません。

その理由は、彼らが株式投資に興味がないから保有していないというからではありません(ただ、証券アナリストでも株式投資に興味がないという不思議な人はいます)。

なぜかというと、社内のコンプライアンスルールやインサイダー情報の取扱いのルールが厳しく、実質的に株式を売買しにくい状況となっていることがあります。一定のプロセスを通じて株式の売買はできますが、一言でいうと面倒なのです。

まず、開設できる証券会社は指定されますし、自分が担当する企業などの株式はそうとう条件がそろわない限り株式を保有できません。

また、一度保有したら6か月は保有しなくてはならないとかいうルールもあり、「業績下方修正があり、今すぐ売りたい」という非常事態に売買できないなどのデメリットもあります。

余談ですが、株式取引の手続きの中で、勤務する金融機関が策定した「正しいステップ」を踏まないで売買したために、実質的にその時にいた職から追われた人物も見たことがあります。

金融機関関係者は自分のキャリアのリスクをとってまでも株式の売買はしないのです。

金融関係者は投資信託でも実はあまりリスクをとっていない

昔でいう401k、今でいう確定給付型年金という制度をご存知でしょうか。毎月一定の掛金を投資信託等に投資をし、退職後の資金を運用する制度です。この制度では、国内外の運用会社が運用する投資信託や保険、預貯金などで運用します。

しかし、「毎月、株式の投資信託を全額買っている」というような人は少なく、意外に手堅い運用している人が多いということです。中には、ほとんど預金として保有しているという人もいます。

こうした状況に知り合いである運用会社の営業担当者はさすがに怒っていました。

「お客様に投資信託でリスクをとりましょうと言っておきながら、自分たちでは全然リスクをとっていない」

投資信託は先ほど株式で見たようにインサイダーのルールなどはなく、比較的自由に売買することができます。にもかかわらずです。

先の投信の運用会社の営業担当は次のようにも言っていました。

「本当に投資信託が金融商品として魅力があれば買っていると思うんですよね」

投資信託は、個人投資家がなかなかアクセスできない金融商品や投資機会を提供してくれる便利なツールなはずなのですが、金融機関に勤務する人もその長所に気づいていないともいえます。

では、金融機関で高給取りのビジネスパーソンはどのような運用をしているのでしょうか。

金融機関関係者が好きなキーワード

高給取りの金融機関関係者が好きなキーワードは「節税」です。

では、何に投資をしているのかといえば、一言でいうと、不動産投資です。

賃貸用のマンションや太陽光発電などの実物資産を購入し、その減価償却を活用して税金がかかってくる所得を少なくするのです。

会計上の話なので、分かりにくい人もいるかもしれませんが、自分が金融機関から手にする所得から減価償却を差し引いたものに税金がかかります。つまり、実物資産に投資をし、そこから発生する減価償却を活用して税金がかかる所得を減らすのです。

太陽光発電は他人には貸し出せませんが、マンションなどは賃貸に出したり、最近だとairbnb(通称:エアビ)などで貸し出して、運用するということを実践している人がいました。

また、金融機関関係者が好きな言葉に「レバレッジ」という言葉があります。

自分たちは高給取りなので、これまた金融機関がたくさんお金を貸してくれるわけです。その借入資金で不動産を購入します。全部金融機関からお金を借りて不動産を購入することを「フルレバレッジ(フルレバ)」といいます。

最近はこうした「フルレバ」はレアケースとなってきましたが、昔はこうしたケースの恩恵にあずかる金融機関関係者もいました。

不動産に次いで好きなのが保険

金機関関係者は保険好きです。

生命保険はそれほど「勝ち率」(支払った分に対する戻り率)が高くない金融商品であることを知っている人も多いかと思いますが(ただし、宝くじよりははるかにましな勝ち率ですが)、将来に不安な人が多いというのも事実でしょう。

また、生命保険も非課税枠が多少あるので、これもまた「節税」の一環で、保険に入っておいてかつ非課税枠をもらえるなら、という狙いもあると思います。

金融機関が持ち寄る話にはこう切り返そう

金融機関にいくと、最近は銀行でも投資信託や保険をすすめられることが増えてきましたが、本当にいい商品かどうかを考えるきっかけを与えてくれる質問をしましょう。

「で、あなたはこの商品持っているの?」

この質問の反応を見てから考えても遅くはありません。

結局、本当においしいと思った金融商品は相当仲の良い人にしか教えません。これは、自分が金融機関にいた時の感想です。

青山 諭志