物価高騰が続くなかで生活基盤が不安定な世帯への支援はこれまで以上に重要性を増しています。そのなかでも「生活保護」は近年で申請件数が伸びており、都道府県ごとに比較すると一定の傾向が見られます。

そこで本記事では、主な都道府県ごとの保護率を解説していきます。加えて、生活保護の概要や保護率が高い都道府県の特徴なども紹介するので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

1. そもそも生活保護制度とは?

生活保護制度は、病気や障害などのさまざまな理由によって、生活が困難になった方の生活を保障する制度のことです。

日本国憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」の実現をサポートするため、市区町村が窓口となって支援を行っています。

具体的な保護の内容としては、食べ物や光熱費といった暮らしに必要な費用に充てられる生活扶助や、家賃などの住むために必要な費用へ充てられる住宅扶助など、複数の扶助が用意されているのが特徴です。

また、生活保護は単純に最低限の暮らしを実現するために設けられた制度ではなく、 受給者の自立を助長することも目的とされています。そのため、就労支援といった仕組みが整えられているのもポイントです。

生活に困っている方を支援する生活保護制度ですが、冒頭でもお伝えした通り受給率は都道府県ごとに異なります。

そこで次章では、保護率が高い・低い都道府県について解説していきます。

2. 生活保護の保護率が高い・低い都道府県はどこ?

まずは保護率の高い都道府県を10位までに絞って紹介していきます。

2.1 生活保護の保護率が高い都道府県上位10

生活保護の保護率が高い都道府県上位101/3

生活保護の保護率が高い都道府県上位10

出所:厚生労働省「令和6年度被保護者調査」をもとに筆者作成

  1. 沖縄県:2.28%
  2. 青森県:2.19%
  3. 北海道:2.14%
  4. 福岡県:2.09%
  5. 東京都:1.94%
  6. 大阪府:1.92%
  7. 高知県:1.81%
  8. 徳島県:1.74%
  9. 大分県:1.61%
  10. 鹿児島県:1.42%

次に生活保護の保護率が低い都道府県をピックアップしていきます。

2.2 生活保護の保護率が低い都道府県上位10

生活保護の保護率が低い都道府県上位102/3

生活保護の保護率が低い都道府県上位10

出所:厚生労働省「令和6年度被保護者調査」をもとに筆者作成

  1. 富山県:0.26%
  2. 福井県:0.34%
  3. 岐阜県:0.40%
  4. 長野県:0.42%
  5. 石川県:0.43%
  6. 愛知県:0.56%
  7. 岡山県:0.56%
  8. 島根県:0.59%
  9. 新潟県:0.66%
  10. 群馬県:0.67%

本章では、生活保護の保護率が高い・低い都道府県の1〜10位を紹介しました。次章で保護率が高い都道府県の特徴を解説していきます。

3. 保護率が高い都道府県の特徴とは?

前章で紹介した保護率が高い都道府県の傾向として、完全失業率が高いことが挙げられます。例えば、保護率が2.28%と最も高い沖縄県の場合、2020年度の総務省の調査では完全失業率が5.5%と都道府県のなかで最も高い割合でした。

ほかにも保護率が高かった青森県や福岡県といった地域も完全失業率が高い傾向にありました。

具体的に2020年度の完全失業率が高い都道府県は以下の通りです。

保護率が高い都道府県の特徴3/3

保護率が高い都道府県の特徴

出所:総務省統計局「社会・人口統計体系 都道府県データ 社会生活統計指標 (2020年度)」をもとに筆者作成

  1. 沖縄県:5.5%
  2. 青森県:4.6%
  3. 福岡県:4.6%
  4. 大阪府:4.5%
  5. 宮城県:4.3%
  6. 北海道:4.2%
  7. 徳島県:4.2%
  8. 大分県:4.2%
  9. 秋田県:4.1%
  10. 福島県:4.1%

保護率と完全に一致しているわけでないものの、完全失業率と保護率の高い都道府県を比較してみると、ある程度の関係性が伺えます。

このデータから地域の雇用環境が生活保護の受給状況に一定の影響を及ぼしている可能性があるという仮説が立てられるのではないしょうか。

しかし、注意点として保護率のデータは2024年度、完全失業率は2022年度のものを参照しているため、年度が一致していません。よって、両者の数値をそのまま並べて因果関係があると断定することはできません。

あくまで傾向を捉えるための参考程度に留めておきましょう。

4. おわりに

生活保護制度は生活に困窮している方の暮らしを下支えするセーフティーネットとして機能しており、物価高騰が続いている現在において重要性はより一層高まっていると言えるでしょう。

特に都道府県ごとの保護率の違いは、その地域が抱えている雇用環境や所得水準といった社会の課題を映し出す指標とも考えられます。

単純に保護率が高い・低いという数字の差で判断するのではなく、背後にある要因を踏まえて読み解くことが大切です。

参考資料

湯田 浩平