4. 同じ人でも年金手取り額が変わることはある!12月の「過納額清算」とは

ここまで年齢別の年金平均額を見ていきました。年齢によって少しの差がありますが、個人ではさらに大きな差があります。

また、同じ人であっても年金手取り額が変わることはあるのです。例えば次回12月15日の支給日では、令和7年度税制改正の影響を受け、「過納額清算」が受けられます。

令和7年度税制改正の主な内容は、

  • 所得税の基礎控除の見直し
  • 特定親族特別控除の創設
  • 扶養親族等の所得要件の引き上げ

です。中でも多くの人に関係があるのが、基礎控除の見直しです。

公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、現行の158万円未満から205万円未満に引き上げられました(65歳未満は現行の108万円未満から155万円未満に引き上げ)。

令和7年分については、12月15日の支給日に、差額の清算が行われます。この清算によって還付すべき金額が生じた際には、原則としてその分が還付されます。

令和7年分の所得税の源泉徴収と還付イメージ

令和7年分の所得税の源泉徴収と還付イメージ

出所:日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

これまで年金支給の度に6500円の所得税が源泉徴収されていた人が、今回の改正により3500円になったとしましょう。

この場合、過納額は1万5000円(3000円×5回)。12月はここから3500円が相殺され、残りの1万1500円が還付されることになります。

年金の手取り額が変わるケースは他にもあり、天引きされる社会保険料や税金が変動することにより、振込額が変わることは少なくありません。

また、年度ごとの年金改定など、年金額自体が変わることもあります。

今回の過納額清算は稀なケースであるものの、年金額や手取り額が変動することは意外にあるものです。