しかし、鳥貴族は2017年に一律280円商品を298円に値上げし、客離れが発生。その後も業績の悪化が続いています。外食店にとって、値上げは鬼門であることに違いありません。その中でも単品および単一価格の店舗の場合、値上げのインパクトが大きくなるため、吉野家や鳥貴族は不利な一面を有しています。
外食チェーンのビジネスモデルは限界か
これまでほとんどの外食チェーンは、社員店長の下に低コストのパートや学生アルバイト、というビジネスモデルで多店舗展開を行ってきました。学生にとって外食店は重要なアルバイト先の1つであり、外食店にとっても学生は重要な人材の供給源でした。
しかし少子高齢化でアルバイトの絶対数が減少していることに加え、最低賃金の上昇や深夜における「ワンオペバイト」などのアルバイトのイメージも悪化しています。もはや、低コストでアルバイトが採用できない時代です。
今後は、セルフレジの導入を始め、様々な形で店舗スタッフの負担軽減を行うことで省人化も進めていくことができるでしょう。また、多くの外食チェーン店では外国人労働者を積極的に採用しています。
外国人労働者を取り入れながらこのままのビジネスモデルで突き進むのか、新たな一手に出るのか、はたまた値上げするのか。日本の外食産業の将来を占う上でも、同社の価格政策は注目を浴びるのではないでしょうか。
【参考資料】
- 吉野家HD「2019年2月期第2四半期決算説明会」
- 厚生労働省 東京労働局「東京都最低賃金改正経過一覧」
石井 僚一