2025年度の公的年金は前年より1.9%のプラス改定となりましたが、年金額だけでは見えない「老後の生活意識」も、厚生労働省の調査で明らかになっています。

男性の厚生年金受給権者に限ると、平均年金月額は16万円台、6割を超える人が月15万円以上を受け取っているというデータがあります。

その一方で、高齢者世帯の半数以上(55.8%)が「生活が苦しい」と感じているという深刻な実態が浮き彫りになっています。

12月は、一年の家計見直しをおこなうとともに、来年に向けた資産づくりの戦略を練る最適なタイミングです。

この記事では、公的年金の仕組みと男性の年金事情、そして高齢者のリアルな生活意識を対比させます。

年金受給額と「ゆとりある生活」の間に存在するギャップを埋めるために、何をすべきか具体的なヒントを探るための情報源としてご活用ください。

1. 【日本の年金制度】国民年金+厚生年金《2階建て構造》基本を確認

日本の公的年金制度は、1階部分にあたる「国民年金」と、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、2階建て構造です。

1.1 【国民年金】1階部分

  • 加入対象:原則、日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
  • 保険料:全員一律、年度ごとに見直しあり(※1)
  • 年金額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降に満額の基礎年金(※2)を受給できる(未納期間分に応じて減額調整)

※1 国民年金保険料:1万7510円(2025年度の月額)
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:6万9308円(2025年度の月額)

1.2 【厚生年金】2階部分

  • 加入対象:主に会社員、公務員など
  • 保険料:収入に応じて(上限あり)決定する報酬比例制
  • 年金額:加入期間や納付保険料により決定(国民年金に上乗せして支給)

国民年金の保険料は「全員一律」ですが、厚生年金の保険料は「報酬比例制」です。そのため、現役時代に「国民年金」または「厚生年金」のどちらに加入していたかで、老後の受給額に大きな差が出ます。

厚生年金の場合、毎月の給与や賞与などの「報酬」に、所定の保険料率を乗じて保険料を決定します。そのため、納付する保険料は人それぞれ異なります。