7. 【意外と知らない】退職してから再就職まで期間がある場合の「年金保険」について
会社を退職したあとは、次の仕事が決まるまでの間に国民年金への切り替え手続きが必要となります。
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、会社員や公務員として厚生年金に加入していても、退職と同時にその資格を喪失します。
そのため、再就職までに空白期間がある場合は、国民年金への加入手続きを行わなければなりません。
退職後は、お住まいの市区町村役場にある国民年金の窓口で、加入手続きを行う必要があります。
その後、再就職して厚生年金に再加入する場合は、会社を通じて自動的に手続きが進むため、自分で国民年金の資格喪失手続きを行う必要はありません。
また、60歳未満でも、すでに厚生年金保険の老齢年金や共済組合の退職年金を受給している場合は、国民年金に加入する必要はありません。
8. まとめにかえて
本記事では日本の公的年金制度の全体像を深く掘り下げてきました。 公的年金は、国民年金という「基礎年金」に、会社員等が加入する厚生年金が上乗せされる「2階建て構造」であることを再確認できたのではないでしょうか。
年金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年見直されており、将来の生活を考える上で、制度の基本的な仕組みや年金支給日などを把握しておくことは極めて重要です。
特に、公的年金を受け取る年代に入った後の平均受給額を年齢別、男女別で確認した結果は、多くの方にとって具体的な将来設計の参考になったはずです。 65歳以降の平均月額は、厚生年金(国民年金含む)で14万円台、国民年金単体で5万円台という数字は、現役時代の働き方や保険料の納付状況によって、個人間で大きな差が生じることを示しています。
将来の年金生活をより豊かにするためには、公的年金だけに頼るのではなく、iDeCoやNISAといった私的年金制度や資産運用も組み合わせた、多角的な老後資金の準備が不可欠です。
老後を安心して暮らすために、まずはご自身の年金記録を確認することから始めてみましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 南アルプス市「国民年金加入者が必要な届出」
石津 大希
