来月、12月15日は公的年金の支給日です。年金は老後の生活を支える大切な収入源の1つです。
しかし、年金収入だけでやりくりするのは容易ではありません。
そこで政府は、2019年に「年金生活者支援給付金」という制度を設けました。一定の要件を満たす年金受給者に給付金を支給して生活を下支えするものです。
年金生活者支援給付金は基礎年金に応じて「老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金」の3種類に分類されます。
この記事では、「老齢年金生活者支援給付金」にフォーカスして、支給要件や給付額、さらには国民年金・厚生年金の平均受給額の個人差を確認していきます。
1. 高齢者世帯の約半数が「公的年金・恩給」だけでは生活できない
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。
まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。
しかし、これはあくまで全体の平均値です。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
言い換えると、高齢者世帯の56.6%が公的年金・恩給以外の所得が必要な状況にあります。
