3. 2025年に65歳になる方が40年間で支払った「国民年金保険料」の総額

2025年に65歳になる方が、20歳であった1980年(昭和55年)から60歳になるまでの40年間に納めた国民年金保険料の総額は、561万8040円となります。

ちなみに令和7年度の国民年金保険料は月額1万7510円であり、1980年当時の月額3770円と比べると、保険料が大きく上がっていることが見て取れます。

当時の年収に対して保険料がどの程度の負担だったのか、参考までに比較してみます。

※公平な比較のため、同じ調査データを基に「1985年(昭和60年)時点の25歳」と「2021年(令和3年)時点の25歳」の事例で見ていきます。

男性の平均年収に対する「国民年金保険料」の負担割合

男性の平均年収に対する「国民年金保険料」の負担割合

出所:日本年金機構「国民年金保険料の変遷」内閣府「男女共同参画白書 令和5年版」をもとにLIMO編集部作成

◆1985年(昭和60年)の25歳男性の場合

  • 国民年金保険料:月額6740円(年額8万880円)
  • 25~34歳男性の平均給与:415万9000円
  • 年収に対する保険料の割合:1.9%

◆2021年(令和3年)の25歳男性の場合

  • 国民年金保険料:月額1万6610円(年額19万9320円)
  • 25~34歳男性の平均給与:441万8000円
  • 年収に対する保険料の割合:4.5%

この約40年の間には、消費税の導入や物価の上昇といった社会的な変化もありました。

これらの変化を踏まえると、現在の若い世代にとって国民年金保険料の負担は、過去と比べて重くなっていると考えられます。

なお、この比較はいまの若者の方が負担が大きいことを主張するものではありません。「国民年金保険料、年収、年収に対する国民年金保険料の負担割合」この3点だけで比較しきれないものが多々あるからです。

たとえば、シニア世代の方々が子育て真っ盛りの頃には、児童手当や保育料無償化、就学支援金、多子世帯の大学無償化などはありませんでした。女性が子育てと仕事を両立できるような労働環境は現代ほど整っておらず、夫婦共働きは珍しかった時代です。

上記は一例ですが、このような支援制度にも違いがあるため、ここでご紹介した負担割合の比較は1つの参考としてとらえておきましょう。

※会社員や公務員のように厚生年金に加入している方は、保険料が給与から天引きされ、その半分を勤務先が負担しています。この厚生年金保険料には国民年金保険料分も含まれるため、個人で別途納付する必要はありません。