2025年も残すところわずか。一年を振り返り、来年に向けた暮らしとお金まわりの計画を始める人も多い時期です。
50歳代の皆さんの中には、リタイア後のライフプランが喫緊の課題となっている人もいるでしょう。「人生100年時代」、公的年金のみでゆとりのある老後生活を送るのは難しい、という声もよく聞かれます。
この記事では、老後の生活設計に不可欠な「現実の数字」を、最新の統計データから紐解いていきます。
具体的には、65歳以上の単身無職世帯のリアルな家計収支を詳細に分析。さらに、現役時代の「働き方」が将来の年金額にどう影響するかを、モデルケースを用いて比較します。
後半では、増加する「働くシニア」の最新の動向と、2026年春から変更される「在職老齢年金制度」のルールについても解説。ご自身の未来を設計するための具体的なヒントとして、ぜひご活用ください。
1. ひとりの老後「65歳以降、定年退職後」ひと月の生活費は手取り収入の1.2倍!?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、標準的な65歳以上・単身無職世帯のひと月の家計収支データを見てみましょう。
1.1 65歳以上の単身無職世帯「ひと月の家計収支」
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金)12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出(いわゆる生活費):14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
- うち諸雑費:1万3409円
- うち交際費:1万6460円
- うち仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計の姿
- ひと月の赤字:2万7817円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
この単身世帯の家計は、毎月約2万8000円の赤字となっています。公的年金を中心とした月収約13万4000円に対し、支出が約16万2000円と収入を上回っているためです。
また、総支出のうちいわゆる生活費にあたる消費支出は14万9286円。可処分所得(手取り収入)の約1.2倍以上を消費に充てている状態で、貯蓄を取り崩しながら生活している様子がうかがえます。
