2. 【老後のシニア世帯】ひと月の生活費ってどれくらい必要?
資産保有の主な目的を、老後の生活資金確保や介護費用の補てんと考えたときに、どのくらいの資産が必要か考えてみましょう。ここでは、老後に差し掛かった夫婦が、年金と貯蓄の取り崩しのみで生活していくと仮定します。
2.1 65歳以上・無職夫婦世帯の家計収支は「毎月3万4058円の赤字」
2025年3月11日に厚生労働省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支を見てみると、毎月3万4058円の赤字となっています。
毎月の実収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
毎月の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
■うち非消費支出:3万356円
毎月の家計収支
- 3万4058円の赤字
無職世帯を対象としているため収入は25万2818円のおよそ約9割にあたる22万5182円は、公的年金などの社会保障給付によるものです。3万4058円は、基本的に貯蓄を取り崩す形で賄われていると考えられます。
仮に70歳から95歳まで25年間この金額を取り崩し続けるとすると、残りの生涯を通じて1021万7400円貯蓄が必要です。(ただし資産運用等による運用益を考慮しない場合)
2.2 介護費用は一人当たり平均542万円
長命化するなか、介護サービスを利用する可能性も一定程度あるでしょう。70歳代以降となると、介護サービスを利用する可能性も高まりそうです。
公益財団法人「生命保険文化センター」によると、一人あたりの介護にかかる費用の平均値は次のとおりです。
- 一時金の平均額:47万2000円
- 月々の費用は9万円
- 一人の平均的な介護期間:55か月
以上をふまえると、1人あたりの総介護費用は平均約542万円、二人合わせると約1084万円です。
生活費の補てんと介護費用の双方を考慮すると、およそ2100万円超の貯蓄が必要という試算結果となります。
もし貯蓄を充分に確保するのが難しい場合には、たとえば介護費用を子ども世帯などに援助してもらえないかなど、親族間で相談するのも一つの方法です。
