老後資金2000万円問題をきっかけに、将来のお金に対して漠然とした不安を感じている方は、現役世代でも決して少なくないはずです。
「年金はいくらもらえるのか」「今の生活水準を維持できるのか」といった疑問は、多くの方が一度は考えたことがあるのではないでしょうか。ただ、年金制度は仕組みが複雑で、正直よく分からないままにしているという声もよく耳にします。
11月から12月にかけては、来年の制度改正に関する情報が少しずつ出てくる時期でもあります。そんなタイミングだからこそ、「国民年金」と「厚生年金」の基本を改めて整理し、平均的な受給額やライフスタイル別のモデルケースを確認しておくことは、将来を考える上で大きなヒントになります。
年金は2カ月に一度の支給となるため、収入のリズムも現役時代とは変わってきます。
この記事では、公的年金の平均月額やライフコース別のモデル年金額を解説します。ご自身の年金の「いまの位置」を知るきっかけとなり、無理のない老後資金計画を考える第一歩になれば幸いです。
1. 日本の年金制度のしくみ
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
