4. 「給付付き税額控除」にデメリットはある?

給付付き税額控除は、低所得者への支援を強化できる一方で、制度特有の課題も指摘されています。

まず、減税と現金給付を組み合わせた仕組みであるため制度が複雑になり、一般の人には理解しづらいという点があります。適切な周知や説明に時間を要する可能性が高く、制度の浸透が進みにくいことが懸念されるでしょう。

また、所得の把握や給付額の計算、申告手続きなど、行政側の事務負担が増える点もデメリットといえます。自治体や国税庁のシステム整備が必要になるなど、導入には一定のコストを伴います。

さらに、制度の設計次第では、給付を受けるために本人の申請が必要となる場合があるでしょう。申請漏れや制度の認知不足によって、本来支援を受けられるはずの人が対象から外れてしまうリスクも否定できません。

5. まとめ

給付付き税額控除は、所得税の減税と現金給付を組み合わせ、控除しきれない部分を現金で補う仕組みが特徴です。

この仕組みにより、非課税世帯や納税額が少ない層にも確実に支援が行き渡り、従来の減税では補えなかった部分をカバーできます。

また、消費税の逆進性を緩和する役割や、税の再分配機能を強める効果も期待されています。

一律の給付金とは異なり、家計の状況に応じて手取りを増やす「持続的な支援」として位置づけられる制度です。今後の制度設計の動向を注視し、自身がどの対象に該当しうるかを早めに確認しておきましょう。

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参考資料

加藤 聖人