4. 介護費用のリアル「必要な費用と期間の平均は?」
先ほどのハルメクホールディングスの調査結果によると、介護経験者は未経験者よりも「貯蓄などによる経済面での備え」を重視していることが分かりました。では、実際に介護にはどれくらいの費用と期間がかかるのでしょうか。
ここからは、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生命保険に関する全国実態調査」から、介護の「経済的なリアル」として、介護費用と介護期間の平均データを見ていきます。
4.1 【一覧表】介護費用(※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)
介護費用の合計は?
一時的な費用の合計平均:47万円
- 掛かった費用はない:17.5%
- 15万円未満:24.0%
- 15~25万円未満:10.1%
- 25~50万円未満:6.2%
- 50~100万円未満:7.2%
- 100~150万円未満:6.4%
- 150~200万円未満:1.8%
- 200万円以上:4.7%
- 不明:22.0%
介護にかかる費用(月額)
在宅介護の月額平均:5万2000円
- 支払った費用はない:0.0%
- 1万円未満:8.6 %
- 1万~2万5000円未満:22.8%
- 2万5000~5万円未満:18.4%
- 5万~7万5000円未満:13.0%
- 7万5000円~10万円未満:4.0%
- 10万~12万5000円未満:6.3%
- 12万5000~15万円未満:1.2%
- 15万円以上:6.9%
- 不明:18.7%
施設介護の月額平均:12万2000円
- 支払った費用はない:0.0%
- 1万円未満:2.1%
- 1万~2万5000円未満:4.6%
- 2万5000~5万円未満:6.3%
- 5万~7万5000円未満:5.8%
- 7万5000円~10万円未満:4.6%
- 10万~12万5000円未満:16.7%
- 12万5000~15万円未満:12.1%
- 15万円以上:37.5%
- 不明:10.4%
4.2 介護期間は「平均4年7カ月」
介護期間は「平均4年7カ月」
介護期間の内訳
- 6カ月未満:6.1%
- 6カ月~1年未満:6.9%
- 1~2年未満:15.0%
- 2~3年未満:16.5%
- 3~4年未満:11.6%
- 4~10年未満:27.9%
- 10年以上:14.8%
- 不明:1.3%
平均的な介護の道のりは55.0カ月、すなわち約4年7カ月に及びます。この期間中、一時費用と毎月の出費を合算すると、その総額は在宅介護で333万円、老人ホームなどの施設介護では718万円に達するというのが現実です。
介護費用は、一人ひとりの環境によって大きく変動します。もちろん、近居や同居の家族がいれば、日常的な買い物や身の回りのお世話など、一部のサポートを頼める余地は生まれるでしょう。さらに、日頃のご近所との良好な関係は、万が一の異変時に離れて暮らす家族へ状況を知らせてもらえるなど、見守り役としても期待できます。
しかし、施設入所への備えは別問題と言えるでしょう。民間の介護付き有料老人ホームなどでは、初期費用として数百万円の入所一時金を要するケースが少なくありません。
一方、比較的安価な特別養護老人ホームのような公的施設は、入所希望者が多く、本当に必要なタイミングですぐに入れる保証がないため、長期の待機期間も視野に入れる必要があります。


