5. 老後資金の現実と「介護の日」を機にした備え
本記事では、令和のシニア世代の年金受給額(国民年金5万円台、厚生年金14万~16万円台)と、介護の費用と期間のリアルを確認しました。
介護期間は平均「4年7カ月」で、費用総額は在宅で約333万円、施設で約718万円と、その選択によって必要となる金額は大きく異なります。
筆者自身も認知症の家族を看取るまで、時間とお金のやりくりに苦労しました。そのため、介護経験者が「自分自身が要介護になったとき」に備え、準備をする傾向があるという調査結果には、心からうなずけます。
介護費用は「介護を受ける本人のお金から捻出する」のが基本ですが、かつて話題となった「老後2000万円問題」の試算には介護費用は含まれていません。
「人生100年時代」を生きる私たち現役世代にとって、この「介護費用のリアル」を、年金受給額という「老後資金の現実」とセットで捉えることが極めて重要です。
預貯金や資産運用による「資産寿命」、適切な運動・食事による「健康寿命」に加えて、「趣味」や「生きがい」を通じた社会とのつながりを持つ努力こそが、お金と介護の不安を和らげる最大の対策となります。
長寿時代を心身ともに豊かに生きるための準備を、前向きな気持ちで進めていきたいものですね。11月11日「介護の日」をきっかけに、親御さんの介護のお金だけでなく、ご自身の老後と介護への備えを考えていただくきっかけになればと思います。
参考資料
- 政府広報オンライン「介護の日」
- 株式会社ハルメクホールディングス【介護に関する意識・実態調査】「自分は自宅で」「家族は施設で」 介護の理想と現実のギャップが浮き彫りに(PR TIMES)
- 内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
吉沢 良子