12月に入り、街は年末ムード一色ですね。現役世代の方にとっては、冬のボーナスや年末調整など、お金の動きが気になる時期ではないでしょうか。一時的な収入でホッとする反面、「引退後の収入はどうなるんだろう…」と不安がよぎる方も多いはず。
物価の上昇が続く中、公的年金だけで生活できるのか、それとも貯蓄を取り崩す必要があるのかは、誰にとっても切実な問題です。一般的に厚生年金の平均受給額は「月14万~15万円程度」と言われていますが、実際にその金額、あるいはそれ以上を受け取っている人はどれくらいいるのでしょうか?
今回は、厚生労働省のデータをもとに、厚生年金の受給額分布を詳しく見ていきます。特に「月15万円以上もらっている人の割合」を一覧表で紹介しますので、来年に向けた資金計画の参考にしてください。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
1. 日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て
日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金(基礎年金)」に、上乗せの「厚生年金」を組み合わせた仕組みで構成されており、「2階建て構造」と呼ばれています。
ここでは、それぞれの制度について基本を押さえていきましょう。
1.1 「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の基本をおさらい
【1階部分】国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
- 保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
- 受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
【2階部分】厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
- 保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
- 受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
2階部分である厚生年金は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する制度です。
国民年金と厚生年金では、加入対象者や保険料の算出方法、年金額の計算方法などが異なるため、老後に受け取る年金額も加入状況や収入により大きく変わります。
さらに、公的年金の受給額は、物価や現役世代の賃金動向にあわせて毎年度見直される仕組みになっている点も押さえておきたいポイントです。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
