2025年度は、医療制度をめぐる議論が相次いでいます。
特に注目を集めているのが、75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」です。
医療費の窓口負担が「1割」「2割」「3割」と分かれる仕組みのなかで、「3割負担」となる人の所得基準をめぐって関心が高まっています。
さらに2026年度からは「子ども・子育て支援金」の徴収も始まり、高齢者にも一定の負担が生じる見通しです。
本記事では、制度の仕組みと負担割合の具体的な基準をわかりやすく解説します。
1. そもそも「後期高齢者医療制度」とは?
「後期高齢者医療制度」は、2008年に創設された、75歳以上の高齢者を対象とした公的医療保険制度です。
制度が導入される以前は、高齢者も国民健康保険や被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に加入していました。
しかし、人口の高齢化が進むなかで、医療費の急増と財政負担の不均衡が深刻化。現役世代と高齢者の間で公平な負担を保ちながら、制度を安定的に運営することが難しくなっていました。
こうした課題を解決するために、高齢者専用の独立した医療制度として新たに設けられたのが「後期高齢者医療制度」です。
日本に住民票がある方は、75歳の誕生日を迎えると自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。
個別の申請手続きは不要で、お住まいの市区町村から「後期高齢者医療被保険者証(保険証)」が郵送で届きます。
また、65歳以上で一定の障害がある場合には、本人の申請によって75歳未満でも加入できる特例(障害認定による特例加入)も設けられています。
