毎年11月11日は、厚生労働省が定めた「介護の日」です。「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」の語呂合わせから、介護についての理解と認識を深める目的で定められました。

やや古い調査にはなりますが、内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、65歳以上の男女の約9割が、将来トイレなどの介護が必要になったら、介護費用を自分の資産(年金・貯蓄)から出すつもりだと回答しています。「ああ、うちの親もよくそう言っている」という方もいるのではないでしょうか。

しかし、いざ介護となると、実際にどれくらいの費用が必要になるのか、経験がなければイメージすることは難しいものです。

そこで今回は、「介護の日」を機に、令和のシニア世代の年金事情や、介護費用に関する最新データを見ていきます。親御さんの老後資金を考えるヒントになればと思います。

1. 令和のシニア「公的年金(国民年金・厚生年金)」月額平均いくら?《5歳刻み》

まずは、厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、今のシニア世代が国民年金と厚生年金(※1)をどの程度受け取れているかを見ていきます。

まずは、年齢階級別(5歳刻み)の平均年金月額から確認しましょう。

※1 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

1.1 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》5歳刻みの平均年金月額

国民年金

  • 60~64歳:4万4836円
  • 65~69歳:5万9331円
  • 70~74歳:5万8421円
  • 75~79歳:5万7580円
  • 80~84歳:5万7045円
  • 85~89歳:5万7336円
  • 90歳以上:5万3621円

厚生年金

※国民年金部分を含む

  • 60~64歳:7万5945円
  • 65~69歳:14万7428円
  • 70~74歳:14万4520円
  • 75~79歳:14万7936円
  • 80~84歳:15万5635円
  • 85~89歳:16万2348円
  • 90歳以上:16万721円

年金の受給開始年齢は、一般的に65歳以上です。65歳以上で国民年金(老齢基礎年金)のみを受け取る方の平均月額は5万円台となっています。

一方、厚生年金(国民年金部分を含む)を受給する方の平均月額は、14万円台から16万円台です。

なお、65歳になる前に年金を受給しているのは、年金の繰上げ受給(※2)を選択した方や、特別支給の老齢厚生年金(※3)を受け取っている方です。そのため、65歳以上の方と比べて平均受給額は低くなっています。

※2 繰上げ受給:老齢年金を「60歳から64歳」の間に前倒しして受給を始めること。繰上げた月数に応じて減額率が適用されます。
※3 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受給できます。

2. 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》全体・男女別の平均

60歳~90歳以上の全受給権者における平均年金月額も見ていきましょう。

国民年金

  • 全体 5万7584円
  • 男性 5万9965円
  • 女性 5万5777円

厚生年金

※国民年金部分を含む

  • 全体 14万6429円
  • 男性 16万6606円
  • 女性 10万7200円

国民年金のみを受け取る場合、平均年金月額は男女全体で5万円台です。一方、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取る場合、平均月額は男女全体で14万円台と、国民年金のみの場合よりも手厚くなります。

ただし、厚生年金の平均年金月額を男女で比較すると、男性平均が16万円台であるのに対し、女性は10万円台となっており、大きな差が生じています。これは、現役時代の働き方や年金加入期間が反映されているためです。

老後の年金受給額は、現役時代の年金加入状況によって大きく異なります。ご自身の将来の年金見込額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておきましょう。

3. 【介護費用のリアル】介護にかかる費用や期間、平均はどのくらい?一覧表で見る

ここからは、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生命保険に関する全国実態調査」から、介護費用と介護期間の平均データを見ていきます。

3.1 【一覧表】介護費用(※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)

介護費用の合計は?

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出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度生命保険に関する全国実態調査」

出所:生命保険文化センター「2022(令和4)年度生命保険に関する全国実態調査

一時的な費用の合計平均:47万円

  • 掛かった費用はない:17.5%
  • 15万円未満:24.0%
  • 15~25万円未満:10.1%
  • 25~50万円未満:6.2%
  • 50~100万円未満:7.2%
  • 100~150万円未満:6.4%
  • 150~200万円未満:1.8%
  • 200万円以上:4.7%
  • 不明:22.0%

介護にかかる費用(月額)

在宅介護の月額平均:5万2000円

  • 支払った費用はない:0.0%
  • 1万円未満:8.6 %
  • 1万~2万5000円未満:22.8%
  • 2万5000~5万円未満:18.4%
  • 5万~7万5000円未満:13.0%
  • 7万5000円~10万円未満:4.0%
  • 10万~12万5000円未満:6.3%
  • 12万5000~15万円未満:1.2%
  • 15万円以上:6.9%
  • 不明:18.7%

施設介護の月額平均:12万2000円

  • 支払った費用はない:0.0%
  • 1万円未満:2.1%
  • 1万~2万5000円未満:4.6%
  • 2万5000~5万円未満:6.3%
  • 5万~7万5000円未満:5.8%
  • 7万5000円~10万円未満:4.6%
  • 10万~12万5000円未満:16.7%
  • 12万5000~15万円未満:12.1%
  • 15万円以上:37.5%
  • 不明:10.4%

3.2 介護期間は「平均4年7カ月」

介護期間は「平均4年7カ月」

介護期間の内訳

  • 6カ月未満:6.1%
  • 6カ月~1年未満:6.9%
  • 1~2年未満:15.0%
  • 2~3年未満:16.5%
  • 3~4年未満:11.6%
  • 4~10年未満:27.9%
  • 10年以上:14.8%
  • 不明:1.3%

平均的な介護期間は55.0カ月(4年7カ月)です。この期間の、一時的な費用の合計と月々の費用を足し上げると、在宅介護の場合で333万円、老人ホームなど施設介護の場合で718万円となります。

介護費用は個人差が大きいものの、もし子ども世帯が近居や同居していれば、買い物や身の回りのことなどを家族に頼める可能性も出てくるでしょう。

ただし、介護付き有料老人ホームなどの民間施設を選んだ場合、入所一時金の時点で数百万円を要することも珍しくありません。

また、費用が比較的低めな特別養護老人ホームなどの公的施設は入所希望者が多く、介護が本当に必要なタイミングですぐに入所できるとは限らないため、待期期間が長くなることも覚悟が必要です。

4. 「親の介護のお金」について考えてみたあとは、自分自身の介護への備えを

ここまで、介護に関する参考データや最新の年金額データを確認してきました。

介護費用は、在宅で行うか、施設入所をするかによっても費用の相場は大きく変わります。また、平均介護期間は4年7カ月というデータがありましたが、これも個人差があるでしょう。「費用が意外にかかる」「介護期間ってそんなに長くないのかも?」など、感想は人それぞれかもしれませんね。

介護費用は「介護を受ける本人のお金から捻出する」のが基本です。しかし、かつて話題となった「老後2000万円問題」の試算中には、実は介護費用は含まれていません。「人生100年時代」と呼ばれる長寿時代を生きる私たち現役世代の老後は、想像以上に長いものとなる可能性があります。

11月11日「介護の日」を一つのきっかけとして、親の介護費用と年金事情という「現実」に目を向けたあとは、ご自身の老後、そして介護への備えも今から始めてみましょう。

預貯金や資産運用で資産の寿命を、適切な運動や食事で健康寿命を。この2つをセットで延ばす努力をコツコツと考えていくことは、お金と介護の不安を和らげる最大の工夫になるでしょう。

参考資料

マネー編集部年金班