5. 【シニアの負担増】今後も「後期高齢者医療制度」の保険料は増える可能性はある?

後期高齢者医療制度の保険料は、ここ数年で増加傾向が続いています。

厚生労働省「令和6年度からの後期高齢者医療の保険料について」によると、2024年度の保険料は前年度と比べて7.7%上昇、さらに2025年度は2024年度から1.6%の引き上げとなりました。

このように、後期高齢者医療制度の保険料は近年急速に上昇しており、その背景には少子化による現役世代の減少で、一人あたりの負担が増していることがあります。

こうした背景から、高齢者と現役世代の負担を分担する仕組みとして、2年ごとに高齢者側の負担割合が見直されており、今後も保険料の上昇は避けられない状況です。

さらに、2026年4月からは全年代を対象に「子ども・子育て支援金」の徴収が始まる予定であり、高齢世帯にも追加の負担が発生すると見込まれます。

5.1 【国民全員に関わる制度】来年から始まる「子ども・子育て支援金」とは?

「子ども・子育て支援金制度」は、少子化対策として子育て支援を充実させるため、社会全体で費用を分担する目的で導入される仕組みです。

この制度では、2026年4月からすべての世代が加入する医療保険料に上乗せする形で支援金の徴収が始まります。

そのため、現役世代だけでなく、年金で生活する75歳以上の高齢者も対象に含まれることになります。

では、この制度によってシニア世代にはどの程度の負担が生じるのでしょうか。

5.2 シニア世代の「子ども・子育て支援金」負担額はいくらに?

こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室の資料によると、後期高齢者1人あたりの負担増は、2026年度から2028年度にかけて月額およそ200円〜350円程度になる見込みです。

また、「子ども・子育て支援金」の金額は年収によって異なる点にも注意が必要です。

2028年度時点での後期高齢者(単身世帯・年金収入のみ)における年収別の負担額目安は、次のとおりです。

  • 年収80万円:月額 50円(均等割7割軽減)
  • 年収160万円:月額 100円(均等割7割軽減)
  • 年収180万円:月額 200円(均等割5割軽減)
  • 年収200万円:月額 350円(均等割2割軽減)
  • 年収250万円:月額 550円(軽減なし)
  • 年収300万円:月額 750円(軽減なし)

実際の負担額は、今後の保険料率の見直しなどによって変動する可能性があるため、現時点で確定しているわけではありません。

とはいえ、2026年4月以降は「子ども・子育て支援金」として、月額で数百円程度が保険料に上乗せされる見通しであることは押さえておきましょう。