今年も残すところあとわずかとなり、街を行き交う人々の足取りにも師走らしい慌ただしさが感じられるようになりました。12月は年末調整や冬のボーナスの時期でもあり、今年一年の家計簿を締めくくると同時に、来年に向けた資産計画を立てるのに絶好のタイミングです。
特に、年末年始の帰省で両親や親族と顔を合わせる機会が増えると、ふと「自分たちの老後資金は足りるのだろうか」「長い老後生活を支える年金は、実際どれくらい頼りになるのか」といった話題が頭をよぎることも多いのではないでしょうか。
人生100年時代と言われる今、単なる全体の平均値だけでなく、年齢を重ねるごとに受給額がどう推移していくのかという「実態」を知ることは、具体的なライフプランを描くうえで非常に重要です。
本記事では、公的年金制度の基本的な仕組みをわかりやすく解説し、60歳から90歳以上までの厚生年金・国民年金の平均受給額を一覧でご紹介します。
1. 公的年金は「2階建て構造」
公的年金は「2階建て構造」などと表現されます。
これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。
1.1 《1階部分》国民年金
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
- 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2025年度月額:1万7510円)
- 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2025年度月額:6万9308円)
1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
- 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
- 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の年金保険料を納めます。
一方で厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料を納めるしくみです。
