5. 2026年春から「子ども・子育て支援金」が上乗せ徴収される
「独身税」として取り上げられることもある「子ども・子育て支援金」。
この制度は、少子化対策の財源を確保するために、2026年4月から新たに導入されます。
支援金は、すべての世代が加入する医療保険料に上乗せされる形で徴収されるため、75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している人も対象となります。
現役世代だけでなくシニア世帯にも影響が及ぶこの「子ども・子育て支援金」について、後期高齢者にとってどの程度の負担となるのかを確認していきましょう。
5.1 【年金収入別】シニアが支払う「子ども・子育て支援金」負担額はいくら?
こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室の資料では、後期高齢者一人あたりの支援金による負担増は、2026年度〜2028年度にかけて月200円〜350円程度になると示されています。
なお、「子ども・子育て支援金」は年収(所得)に応じて負担額が変動する仕組みである点に注意が必要です。
2028年度時点における、後期高齢者(単身で年金収入のみ)の年収別の負担額の目安は以下のとおりです。
- 年収80万円:月額 50円(均等割7割軽減)
- 年収160万円:月額 100円(均等割7割軽減)
- 年収180万円:月額 200円(均等割5割軽減)
- 年収200万円:月額 350円(均等割2割軽減)
- 年収250万円:月額 550円(軽減なし)
- 年収300万円:月額 750円(軽減なし)
実際の負担額は、今後の保険料率の見直しなどにより変動する可能性があり、現段階では確定していません。
ただし、2026年4月以降は、後期高齢者医療制度の保険料に「子ども・子育て支援金」として月数百円ほど加算される見通しであることは押さえておきましょう。
6. まとめ
今回は、後期高齢者医療制度について詳しく解説しました。
後期高齢者医療制度とは、公的医療保険のことで原則75歳以上の方が対象です。
窓口で負担する医療費の割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかに決まります。
75歳以上の方でも現役並みの所得がある方は、窓口負担が3割になります。
あと数年で75歳になるという方で自身が病院の窓口で医療費を負担しなくてはいけないか気になる方は、よく確認しておきましょう。
現役世代の方で、これから老後資金の準備を始めるという方は「年金で不足する生活費の準備」だけに焦点を当てるのではなく、このような保険料負担の増加などについても考慮したうえで老後資金準備にとりかかりましょう。
参考資料
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
- こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室「子ども・子育て支援金制度について」
鶴田 綾
