6. 年金受給者が知っておきたい「確定申告の留意点」は何がある?
確定申告不要制度に該当する場合でも、所得税や復興特別所得税の還付を受けたいときは申告手続きが必要です。
また、公的年金による雑所得以外の所得が20万円以下で、所得税・復興特別所得税の申告義務がない場合でも、住民税の申告が求められることがあります。
確定申告は所轄の税務署で、住民税についてはお住まいの市区町村で確認・相談するようにしましょう。
7. 【高齢者世帯の生活意識】大変ゆとりがあるのは「わずか0.6%」
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ていきます。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
7.1 高齢者世帯の生活意識
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。
まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。
経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。
そして、これら両者の中間にあたるのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。
この割合は「苦しい」層には及ばないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回りました。
経済的な余裕があるとは言えないものの、堅実に暮らす一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成している様子もうかがえます。
8. まとめ
年金生活者でも、年金収入やその他の収入が一定額を超える場合、確定申告が必要になる可能性があります。
確定申告が必要にも関わらず申告をしなかったり、期限に遅れて申告したりすると、無申告加算税や延滞税のペナルティを受けることがあります。
2026年度の確定申告期限は2026年2月16日(月)から3月16日(月)までです。
源泉徴収票の内容をしっかり確認したうえで、確定申告が必要であれば期限内に済ませておきましょう。
参考資料
- 国税庁「公的年金等を受給されている方へ」
- 日本年金機構「令和6年分 公的年金等の源泉徴収票」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」
- 東広島市「公的年金からの特別徴収(年金特別徴収)について」
- 日本年金機構「「令和6年分公的年金等の源泉徴収票」の送付について」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
橋本 優理

