いよいよ本格的な冬の足音が聞こえ始める季節となりました。 NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)の調査では、「高齢おひとりさま」になった場合の困りごととして、70.7%が「医療・介護関連」、66.6%が「経済的管理・手続き」を挙げています。誰もが長寿化する現代において、「自分のお金は誰が守ってくれるのか?」という不安は、多くの方が抱える共通の課題です。

本記事では、この調査結果を基に、高齢おひとりさまが直面する具体的な不安と、その安心を担保するための重要な社会的なしくみである「成年後見制度」について、そのメリットや利用方法、そして注意点を詳しく解説します。

1. 高齢おひとりさま、約7割が不安に思うこととは?

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が公表している「第2回終活意識全国調査」によると、「高齢のおひとりさま」になった場合の困りごととして以下のことが挙げられました。

あなた自身が「高齢のおひとりさま」になった場合、困ると思うことは何ですか?

あなた自身が「高齢のおひとりさま」になった場合、困ると思うことは何ですか?

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】」

「高齢おひとりさま」になったら何が困る?

  • 医療・介護関連系:70.7%
  • 経済的管理・手続き・死後の手続き:66.6%
  • 心理的・社会的要因系:52.8%
  • 日常生活の維持困難系:47.2%
  • リスク・緊急対応系:38.7%

調査によると「高齢のおひとりさま」になった場合に困るであろうこととして、「介護が必要になったとき」や「死後の手続きを頼める人がいない」といった医療・介護関連系や、経済的管理・手続き・死後の手続きなどが挙げられています。

一方で、将来「高齢のおひとりさま」になったときの準備について、「関心はあるが、具体的な行動(準備)はしていないと回答したのは全体で36.5%という結果でした。

あなたは将来「高齢のおひとりさま」になったときの準備をしていますか?

あなたは将来「高齢のおひとりさま」になったときの準備をしていますか?

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査報告書【確定版】」

これに対して、何らかの準備をしている人は全体で約28.8%という結果でした。また、準備の「関心はあるが具体的な行動はしていない」と答えた人も34.7%いるため、多くの人が不安を感じつつも行動に移せていない現状が浮き彫りになっています。これらの結果から、身近な困りごとへの対策も含め、安心して老後を過ごすための具体的な行動が求められていると言えます。

【調査概要】NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)第2回終活意識全国調査報告書【確定版】(2025年7月)

  • 調査目的 :高齢社会における終活意識の実態を明らかにし、個人が豊かで安心した人生後半期を送るための支援策や啓発活動に役立てる
  • 調査対象 :20~89歳の男女
  • 調査地域 :全国
  • 調査方法 :インターネットリサーチ
  • 調査時期 :2024年12月4日(水)~12月6日(金)
  • 回答者数 :2,052名
  • 割付方法 :人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
  • 調査委託先 :株式会社マクロミル