年の瀬も迫り、いよいよ受験シーズンが本格化するなかで、受験生のいる家庭ではいつもとは違って緊張感漂う年末年始を迎えることになります。

それでも、おせち料理を食べて少しは「めでたい新年」を味わいたいところ。おせち料理には縁起に良いとされる料理が揃っています。

例えば、豊かさや勝負ごとに強くなると言われる「栗きんとん」、子孫繁栄の「数の子」などです。

それと同じように、受験シーズン到来とともにスーパーではゲン担ぎのお菓子が店頭に並ぶようになります。

今回は合格祈願も兼ねる「合格めし」や「勝負めし」の歴史や、元塾講師が見聞してきた受験生にとっての「合格めし」「ゲン担ぎのおかし」をご紹介していきます。

受験以外でも!話題の勝負めし

藤井聡太さん五冠の活躍もあり、将棋のタイトル戦で対局者が食べる「勝負めし」というワードがメディアでも取り上げられる機会が増えてきました。

また、現役時代のイチロー選手が毎朝カレーを食べるとインタビューで告白した後、「朝カレー」が野球少年の間で流行し、大手食品が朝に特化したレトルトカレーを商品化したこともありました。

ゲン担ぎや勝負に挑む際に食べるご飯というと、受験の世界ではカツが定番で、受験生のいる家庭では食材や料理の言葉にあやかることが多いです。

実は、「勝負めし」の歴史は古く、その源流は平安末期にまで遡ります。

合格めしに似た必勝祈願の儀式

お祝い事に出される食材である、あわびや栗は平安時代の宮廷での酒宴でも出されていました。

日本醸造協会誌「室町期における公家・武家衆の酒宴」(加藤百一氏)によると、朝廷の酒宴での儀礼「三献の儀」で出される肴として、打鰒(うちあわび)と搗栗(かちぐり)、海月(くらげ)が最初に出されていました。

元々縁起物の食材でしたが、勝負事と結び付けられて食されるようになったのは武士が台頭してきた平安末期頃からで、武士の酒宴や出陣に出されるようになっていきます。

時代が移り、室町時代になると武士の出陣式の三献の儀で出される品は打ちあわび、勝ち栗、昆布に定着していきました。

国の重要無形民俗文化財に指定されている福島県相馬市の「相馬野馬追い」の出陣式でも習慣が受け継がれており、当時の勝負めしを知ることができます。

受験生向けの多種多様な商品も続々と

このように、日本人は古来より勝負ごとに際して食事でも勝つために、ゲン担ぎを行う風習があります。

とくにカツなどのように語呂合わせで合格を願う食品や料理が好まれています。

筆者が塾で仕事をしている頃、カールの「ウカール」やキットカットが「キットカツ」という言葉に似ていることから受験生向けの商品が市場に浸透し始めており、中学生や高校生が自習の合間に食べている姿をよく目にしました。

2015年に発売されていた「キットカット」シリーズ1/3

2015年に発売されていた「キットカット」シリーズ

出所:ネスレ日本株式会社「受験生応援「キットカット」で、受験勉強のラストスパートを応援!「キットカット 受験メッセージパック」&「キットカット 紅白パック」2015 年 12 月 14 日(月)発売」

カールは2001年、キットカットは2003年から受験シーズン向けの商品を販売し大成功となり、トッポの「トッパ」やキャラメルコーンの「カナエルコーン」と他のお菓子も追随し、多種多様な商品が店頭に並びます。

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出所:東ハト「勝利のV!縁起の良いまねき猫デザインの「カナエルコーン」など「キャラメルコーン」「ポテコ」「なげわ」の受験生応援シリーズ4種新発売」

出所:東ハト「勝利のV!縁起の良いまねき猫デザインの「カナエルコーン」など「キャラメルコーン」「ポテコ」「なげわ」の受験生応援シリーズ4種新発売」

年明けから縁起物のお菓子を買い教室に並べて「合格したら食べよう」と受験生に声をかけたのも良い思い出です。

合格を願う親の気持ち

受験生の追い込み時期となる冬休みは、お弁当持参で自習に来る生徒も少なくありません。

その中に、手作り弁当に必ずミニカツやウィンナーが入っている生徒もいました。

「毎日だと飽きるし、無言のプレッシャー」と文句を言いながら毎回嬉しそうに食べている姿を見るたびに、親子の絆を感じました。

受験が近づくと子どもは不安な気持ちを抱えつつ、勉強に励まないといけません。

普段通りでも良いですが、子どもの不安を少しでも和らげる力が、ゲン担ぎや勝負めしには秘められているのかもしれませんね。

緊張感漂う直前期の空気を変えてくれるのが市販のお菓子です。

最近たくさんある受験関連のお菓子は、見ているだけでもほっこりした気分になれます。

スーパーに一緒に行って買って、家のリビングに飾ってみたり「毎日一個食べて合格に近づく」とゲン担ぎをしてみるのもいいですね。

いよいよ受験本番!本当の意味での合格めし

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https://www.shutterstock.com/image-photo/katsudon-pork-cutlet-rice-bowl-2021291345

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受験が近づいているからといって、連日カツといった「合格めし」を親が作ったり、食べている受験生はほとんどいないでしょう。

受験シーズンは冬ということもあり、より一層体調管理に気をつけなければいけません。

「カツとか胃に負担のかかる食事も食べたいけれど、まず入試が終わってから」と口にする生徒もいました。

ゲン担ぎをして合格を引き寄せたいという気持ちを抑えて、親は栄養バランスの良い料理を作ることを心がけることが一番の「合格めし」です。

また、「親も含めて兄姉も合格発表の前の日に決まった料理を食べると合格する」という、合格めしのジンクスを持つ生徒に出会ったこともあります。

「これを食べて合格を目指す」というのは入試本番前というイメージがありますが、入試後に食べるケースもあります。

このように、合格めしは各家庭により異なります。「我が家の合格めし」を作って中学受験や高校受験、そして大学受験に挑みたいですね。

参考資料

中山 まち子