高安入り交じりながらも、約2か月ぶりの高値圏へ
2019年3月1日の日経平均株価の終値は、前日より217円53銭高の21,602円69銭となりました。約2か月半ぶりの高値です。先週は商いが薄い中でイベントも多く、高安まちまちといったところでした。
週初は前週の米株式相場が上昇したことや、ニューヨーク外国為替市場で円相場が111円台と円安・ドル高水準となったことを受けて、輸出関連株を中心に買われました。しかし、26日にインド空軍がパキスタンを空爆したと伝えられると、投資家の間に地政学リスクが高まるとの見方が広がり売りが増えました。
続く27日~28日、ベトナムハノイで開かれたトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の2回目となる米朝首脳会議は、両者による合意文書が出されないという結果になりました。
ただし足元では、直近の円安や、中国の2月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)、国内法人企業統計での設備投資額の伸びなどが好感され、週末にかけては買われました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。日本株については直近の米株式相場や為替相場に振られる展開が続いています。
1日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が4日ぶりに反発し、前日比110ドル32セント高の26,026ドル32セントとなりました。また、1日のニューヨーク外国為替市場で円相場は1ドル=111円85~95銭と円安・ドル高となったこともあり、日本株も週初から連れ高になる可能性があります。
米朝、印パの地政学リスクについては楽観できないものの、これにより世界の株式が同時安になるほどではなさそうです。それよりもやはり注目されるのは中国経済の行方です。
米国と中国の通商協議の進展が期待される一方で、長期的には中国景気の減速懸念も依然としてくすぶっています。3月5日には中国の全国人民代表大会(全人代)が開かれます。懸念を払拭するために、インフラ投資なども含め、景気の拡大に向けたどのような政策が打ち出されるのか期待されます。8日には2月の米雇用統計も発表されます。
25日線と75日線のゴールデンクロス形成が迫る
先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初25日は窓をあけて上昇したものの、その後は陰線と陽線が繰り返す動きとなりました。ただし、ローソク足の実体は短く、方向感の出にくい展開でした。28日に陰線となり5日移動平均線を割り込みましたが、3月1日にはすぐ反発しました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。3月1日の陽線が長く、先週の高値を更新しました。今週のさらなる上昇への期待もできそうです。
チャートの形を見ると、25日移動平均線が力強く上昇していることに加えて、75日移動平均線も下向きから横ばい気味になっています。さらに、25日線が75日線に近づき、下から上に抜けるゴールデンクロスが形成されそうです。
ゴールデンクロスが形成されるとすれば、2018年の9月上旬以来です。その後は10月2日の24,448円まで上昇していますので、実現すれば、一段上のステージへの期待が高まります。
今週はまず、昨年の10月2日から12月26日の下落幅の半値戻しとなる21,713円が目標になります。その後は、心理的な節目である22,000円や、昨年12月3日の高値の22,698円などが足元の上値めどになるでしょう。逆にここから調整があるとすれば、下値めどは75日線と25日線が重なる21,000円付近、2月8日の安値の20,315円あたりになりそうです。
ただし、これまで何度もトライしては跳ね返されていた21,000円や75日線を突破したことに加え、中期的な上昇トレンドに転じていることから目線は上に持っていいでしょう。若干の調整が入ったとしても押し目買いの好機と考えていいと思います。
下原 一晃