このところ人手不足が叫ばれ続けているので、「今が転職のチャンスかな」と感じている人も少なくないと思います。しかし、「今より年収が下がったら?」「今の職場よりも福利厚生が悪くなったら?」と不安に感じて転職に二の足を踏む場合もあるのではないでしょうか。今回は、年収や待遇などの条件アップを狙える転職のコツをご紹介します。

転職理由には細心の注意を

転職しようと思うきっかけはいくつかあると思いますが、その理由を自分の中でうまく消化し、前向きで説得力のあるものにすることが非常に重要です。別の言い方をすれば、見透かされるような嘘で動機を答えないということです。

転職するとき、前職を辞めた理由、辞めたいと思っている理由は必ず聞かれます。そのときに、相手が「なるほど」と納得できるような理由を答えなければなりません。しかし、相手に「うちに来てもすぐにやめるかも」とか「無能で仕事ができない人なのかも」と思われない説明をするのは結構難しいことですよね。

基本筋は「さらなる能力開発・スキルアップのため」や「そもそも御社に惹かれたから転職を検討しているだけで前職が嫌になったわけではない」ということになるでしょう。本心はどうであれ、この方向で退職理由を自分なりに構築することができれば、マイナスな印象を避けられるはずです。

ちなみに、同業他社への転職ならちょっとしたコツがあります。ある程度本当のことを言って相手の興味を引き出す作戦です。というのも、面接官も人間ですから同業他社の内部事情をうかがい知る機会の一つとして面接を捉える面もあるからです。

「~という事情で内部の人間のモチベーションが下がっている」「納得できる評価体系ではない」など、その会社で働く人間のモチベーションが全体として下がっているという話を聞くと、その会社の人間を引き抜きにいく人事もいるくらいなのです。

自分のスキルの棚卸しをする

転職活動を始める前、具体的には履歴書や職務経歴書を書く前にやっておきたいことがあります。それは自分のスキルの棚卸しです。自分に何ができて、どんな成果を出したのか。そしてそれは会社にどのようなインパクトを与えたのか。こうした事実を上手に整理することができるでしょうか。

前月比、前年比など、具体的な数字も非常に重要です。中途採用者は基本的に即戦力扱いですから、待遇面でより良い条件の会社に転職しようとするときほど数字での成果を求められます。

また、自分にどういう能力があって、どういう経験をしてきたのかということもしっかり棚卸しをしておくことが大事です。過去に上司に評価してもらった能力やスキルを書き出してみて、さらに自分は何を期待されているのか、どういう役割を果たせそうなのかというところまで頑張って考えてみましょう。

極端な言い方をすれば、一度でも経験したことがある事柄に関しては、あなたはもう「できる」ことになります。たった一度の経験でも、職務経歴書に書いてしまえば「あの人は〇〇ができる」ということになってしまうのです。

ですから、今の職場での業務一つ一つに関する理解度を高め、別の職場に行ってもその業務スキルを再現できるよう、自分の経験としてしっかり深堀りしておくことをおすすめします。

転職活動までに話せることをふやす