2. 【意外と知らない】働くことで年金が減ってしまう「在職老齢年金制度」とは?

「在職老齢年金制度」とは、老後に年金を受け取りながら厚生年金に加入して働き続ける場合に、一定額を超えると年金の一部または全額が支給停止となる仕組みです。

支給停止の判定は、労働による収入と年金収入を合算した金額によって行われ、この基準値を「支給停止調整額」と呼びます。

2025年度の支給停止調整額は「51万円」と定められており、この金額を超えた場合には年金が減額または全額停止されます。

年金がどの程度カットされるかは、次の計算式で求められます。

在職老齢年金による調整後の年金支給月額 = 基本月額※1 −(基本月額 + 総報酬月額相当額※2 − 支給停止調整額)÷ 2

現行制度では、労働収入が多いほど年金額が減額される仕組みとなっています。

たとえば、基本月額が15万円で、総報酬月額相当額が30万円の場合、合計は45万円となり、支給停止調整額の51万円を下回るため年金は満額受け取れます。

一方、基本月額が15万円で総報酬月額相当額が37万円になると、合計は52万円となり、基準額を超えるため年金が5000円減額されます。

なお、今後は「高齢者の就労を促進する」という方針のもと、支給停止調整額は段階的に引き上げられていく見通しです。

※1 基本月額:加給年金を除いた厚生年金の月額
※2 総報酬月額相当額:直近1年間の標準賞与額を12で割った額