5. 年金生活に備えて...個人金融資産が過去最高の2239兆円
2025年9月18日日本銀行が発表した資金循環統計によると、家計部門が保有する金融資産残高は2023年9月末の2141兆円から、2025年6月末には2239兆円へと増加しました。
およそ2年弱で約100兆円増と、大きな伸びを見せています。背景には、株式市場の好調さや、NISA制度の拡充などを受けた個人の投資意欲の高まりがあるとみられます。
構成比をみると、現金・預金が半分以上を占める一方で、株式や投資信託といったリスク資産の存在感が増しています。主な内訳と動きは次の通りです。
- 現金・預金:1126兆円(構成比50.3%、前年比▲0.1%)
- 株式等:294兆円(構成比13.1%、前年比+4.9%)
- 投資信託:140兆円(構成比6.3%、前年比+9.0%)
- 保険・年金・定型保証:566兆円(構成比25.3%、前年比▲0.6%)
なかでも、投資信託は新NISA制度による非課税枠拡大を背景に大きく伸びており、個人投資家の資産運用志向の高まりがうかがえます。
一方で、保険や年金といった保障性資産はわずかに減少しており、投資に偏りつつある兆しも見えます。今後は、リターンを追う投資と「もしも」に備える保障のバランスをどう取るかが重要になりそうです。
6. 給付制度への理解、健康への備えを両立して「老後資金」をつくろう
年金生活者支援給付金は、所得が一定基準を下回る人の生活を支える大切な制度です。ただし、その給付額だけで老後資金をまかなうのは難しいのが現実といえるでしょう。
長く安心して暮らすためには、現役世代のうちから積立・貯蓄、そして万一に備える保険など、複数の柱で将来を支える準備を整えておくことが重要です。
特に高齢期は、持病や長期療養などで医療費が増える傾向にあります。こうした支出にも対応できるよう、健康管理を含めた生活設計を行うことが、安定した老後を守る第一歩です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内リーフレット」
マネー編集部年金班