4. 制度設計には時間がかかる
給付付き税額控除は、これまでの給付金事業のようなスキームでの運用はできません。具体的な制度設計には、多少の時間がかかるでしょう。
制度スキームとしては、2024年度に実施された定額減税が近い形といえます。しかし、よりよい制度づくりには、システム整備が欠かせません。
とくに整備を進める必要があるのは、マイナンバーカードと所得情報の紐付けでしょう。
給付付き税額控除を実施するには、国民1人ひとりの所得情報の把握が求められます。所得の把握手段が現状では限られるため、マイナンバーカードの普及をいかに進めるかが鍵になるでしょう。
5. 急務は「ガソリン減税」と「年収の壁」
給付付き税額控除は、給付と減税の両方の側面を持つ政策です。さまざまな人に支援が届きやすく、社会保険料の逆進性の緩和も期待できます。一方で、制度設計は丁寧にする必要があり、実施までには多少の時間を要するでしょう。
だからこそ、まずは早急な物価高対策が必要です。具体的には、2024年から議論が続いている「ガソリン暫定税率の廃止」と「年収の壁の引き上げ」が求められます。
高市総裁もガソリン減税・年収の壁の引き上げには賛成しているため、年内の制度改正を実現できるかが、今後の日本経済にも影響するでしょう。
参考資料
石上 ユウキ