過去に勤めていた会社で作った口座や、定期預金のキャンペーンをきっかけに開設した口座など、解約しないまま放置しているものが自宅に残っている人も少なくないでしょう。
こうした長期間動きのない口座は「休眠預金」と扱われ、一定の年数が経過すると国の管理下に移される仕組みになっています。
本記事では、元銀行員である筆者が「休眠預金の仕組みやその対策」について分かりやすく解説します。
1. 放置した口座が“国の財源”に!?「休眠預金」とは?
解約せずに放置された口座で、10年以上入出金などの取引が行われていない場合は「休眠預金」とされ、預金保険機構へ移管されることになります。
過去の実績では、10年以上動きのない預金は毎年およそ1200億円発生していました。
その資金を社会に活かすために、「休眠預金等活用法」が2016年12月に成立し、2018年1月から施行されました。
この法律により、2019年1月以降に発生する「休眠預金」は、民間の公益的な活動を支援する資金として利用されることがあります。
では、「休眠預金」の対象となる預金はどのようなものがあるのでしょうか。
2. 「休眠預金」の対象となる預金はどんなものがある?
「休眠預金」の対象となるのは、銀行の普通預金や定期預金、ゆうちょ銀行の通常貯金・定期貯金・定額貯金、信用金庫の普通預金や定期積金などです。
ただし、外貨預金や仕組預金、財形貯蓄などは対象外となっています。
休眠預金になると、通帳やキャッシュカードでは引き出しができなくなるため注意が必要です。
なお、「休眠預金」として扱われる前に、金融機関から事前に案内や通知があるのか気になるところです。
次章では、休眠預金に移される前に金融機関からどのような案内が行われるのかを確認していきます。
3. 「休眠預金」になりそうな場合、金融機関から何か通知は来る?
結論として、預金残高が1万円以上あり、かつ金融機関に登録している住所が現住所と一致していれば、金融機関から通知が届きます。
入出金や、手形・小切手の提示といった第三者からの支払い請求など、最後の「異動」から9年が過ぎると、休眠預金となる可能性があるため、まずは各金融機関のウェブサイトで公告が行われます。
さらに、残高が1万円以上であれば、登録住所へ通知が郵送されます。
通知を受け取れば、その口座は休眠預金として扱われることはありません。
通知は郵送のほか電子メールで送られる場合もあり、問題なく受信できれば休眠預金には移行しません。
一方で、残高が1万円未満の口座や、登録住所・メールアドレスが現状と異なる場合は通知が届かず、そのままにしておくと休眠預金となってしまうことがあるため注意が必要です。
さらに、10年以内に「異動」とされる取引があれば休眠預金には該当しません。
入出金はどの金融機関でも共通して「異動」となりますが、通帳への記帳が対象外とされることもあり、この点は金融機関ごとに基準が異なるため、詳しくは取引している金融機関に確認しましょう。
3.1 休眠預金等にならないためには、どうしたらよい?
預金に入出金があったり、手形や小切手による第三者からの支払い請求といった「異動」があれば、その口座は休眠預金にはなりません。
したがって、自分の口座についても「定期的に異動を行っておく」ことが大切です。
さらに、休眠預金に関する通知を受け取った場合も、その口座は移管されず、通常どおり利用を続けることができます。
一方で、長期間異動がなく、残高が1万円未満であったり、住所変更を届け出ていないために通知が届かない場合には、金融機関が公告を出してから2か月〜1年の間に移管されます。
なお、休眠預金となった場合でも、取引先の金融機関で所定の手続きを行えば、元本と利息を含めていつでも払い戻しを受けることができます。
4. 休眠口座になってから気付いた!預金は引き出せる?
休眠預金に移った後でも、預金を引き出せなくなるわけではありません。
多くのケースで通帳やキャッシュカードは利用できなくなりますが、窓口で預金者が本人確認などを実施したうえで所定の手続きを行えば払い戻しが可能です。
仮に通帳やキャッシュカードを失くしていても、本人確認書類や口座の支店名、口座番号がわかるもの等を窓口に持参すると照会してもらうことができます。
必要となる書類や手続きの詳細は、取引していた金融機関に確認してみましょう。
また、休眠預金の払い戻しには期限が設けられていないため、古い口座を見つけた場合は一度問い合わせてみることをおすすめします。
5. 古い通帳を見つけたら「金融機関」へ相談を
本記事では、元銀行員である筆者が「休眠預金の仕組みやその対策」について解説していきました。
長期間利用していない預金口座は「休眠預金」となりますが、手続きを行えば元本と利息を払い戻すことは可能です。ただし、支払いまでに日数がかかることがあるので注意しておきましょう。
休眠預金の払い戻しには時効がないため、いつでも引き出すことは可能ですが、心当たりがある場合には早めに金融機関へ確認しておくと安心でしょう。
もし古い通帳やキャッシュカード等が見つかったときは、まず取引のあった金融機関へ相談してみてください。
参考資料
中本 智恵