3. 今のうちに考えておきたい!「老後に向けてお金を貯める対策」3つ

では最後に、現役のうちから考えておきたい「老後に向けてお金を貯めるための対策」について見ていきましょう。

3.1 対策1:老後生活の「収支シミュレーション」を行う

まずは、自分が将来「どのくらいの年金を受け取れるのか」「老後の生活費はいくら必要になるのか」を確認することが大切です。

公的年金の受給額は、加入している制度の種類や加入期間、収入によって大きく変わるため、人によって差があります。

そのため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して、将来の年金見込み額を事前に把握しておくことが、老後資金準備の第一歩となるでしょう。

年金見込み額が分かれば、老後に必要な生活費から差し引き、毎月の不足分を計算しましょう。

もしその金額を貯めるのが難しいと感じたら、生活費を抑える工夫をしたり、後述する資産運用の方法を取り入れたりすることも有効です。

3.2 対策2:老後資金を貯めるための「仕組み化」をする

自分の意志に頼るだけでは難しく、つい使いすぎてしまう方は、定期的に貯蓄を続けるための「仕組み」を作ることが重要です。

たとえば、給与天引きや自動積立を利用すれば、手元にお金が入る前に自動的に貯蓄が確保されるため、無理なく継続できます。

参考として、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、30歳代から70歳代の世帯が収入のどの程度を預貯金に回しているかが示されています。

【単身世帯:手取り収入からの貯蓄割合の平均】

  • 30歳代:14%
  • 40歳代:12%
  • 50歳代:13%
  • 60歳代:15%
  • 70歳代:16%

【二人以上世帯:手取り収入からの貯蓄割合の平均】

  • 30歳代:14%
  • 40歳代:13%
  • 50歳代:12%
  • 60歳代:13%
  • 70歳代:14%

調査によると、金融資産を保有する世帯では、世帯構成を問わず各年代で手取り収入の約1割を貯蓄に充てている傾向が見られます。

毎月少額でも積み立てを続ければ、将来大きな資産へと育ちます。

まずは収入の10%を目安に貯蓄を始めることで、老後の安心につながるでしょう。

3.3 対策3:NISAやiDeCoで「老後資産を効率的」に増やす

NISAやiDeCoなどの、節税優遇制度を活用して老後資金を増やす方法もあります。

NISAは、投資で得た利益に税金がかからない仕組みのため、リスクを取りつつ効率的に資産形成を進める手段として有効です。

特に2024年からは「新NISA」が始まり、非課税枠が拡大し、保有期間も無期限となったことで、老後に向けた長期投資に適した制度となっています。

一方、iDeCoは公的年金(国民年金や厚生年金)とは別に給付を受けられる制度で、国が後押しする税制優遇策でもあります。

掛金が所得控除の対象になるため、老後資金を準備しながら節税できるのが大きな魅力です。

ただし、iDeCoは一度加入すると原則として60歳まで引き出せず、選択する運用商品によっては元本割れのリスクがある点には注意が必要です。