11月は家計の支出が増えやすく、12月の年末出費を前に「年金だけで生活できるのか」と不安を抱えるシニアの声が増える時期です。
特に物価上昇が続く2025年は、年金の受給額がどれくらいの水準にあるのか、同年代と比べて自分はどの位置にいるのかを知りたい、という人もいるでしょう。
こうしたなか、12月15日の年金支給日には「厚生年金+国民年金」で月15万円(支給日に30万円以上)を受け取る人も存在します。
しかし実際のところ、どれくらいの割合なのでしょうか。
この記事では、公的データをもとに年金の受給分布、2025年度の改定ポイント、さらにシニア世帯の生活意識までわかりやすく解説します。年末の家計管理に向けて、ぜひ参考にしてください。
1. シニアが受け取っている公的年金は「国民年金・厚生年金」の2階建て構造
日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金(基礎年金)」と、その上に加わる「厚生年金」で構成されており、「2階建て構造」として知られています。
まずは、この2つの年金制度の基本的な仕組みを確認していきましょう。
【1階部分】国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
- 保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
- 受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
【2階部分】厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
- 保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
- 受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
厚生年金は、国民年金に上乗せして会社員や公務員が加入する「2階部分」の年金です。
国民年金との違いは、加入対象者や保険料の計算方法、受給額の算出方法などにあります。
そのため、老後に受け取る年金額は、加入状況や収入によって個人差が生じます。
さらに、公的年金は物価や賃金の変動に合わせて毎年見直される仕組みになっている点も押さえておきたいポイントです。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
