3.2 所得税の源泉徴収
年金受給額が一定の水準を超過した場合には所得税の課税対象となり、年金支給時に源泉徴収されます。
- 65歳未満の人:年金額が108万円超
- 65歳以上の人:年金額が158万円超
2025年時点で国民年金を満額受給する場合、月額は6万9308円です。
このことから、モデル年金における夫婦の内訳は以下のようになると推測されます。
- 夫:厚生年金+国民年金=16万3476円
- 妻:国民年金=6万9308円
この結果、夫は源泉徴収対象となる一方で、妻は対象外となります。
源泉徴収は暫定的な概算徴収であり、正確な納税額は自身で算定して確定申告を行う必要があります。
ただし、次の要件を満たす人には確定申告不要制度が適用されます。
- 公的年金等の収入金額合計が400万円以下であり、その全額が源泉徴収対象である
- 公的年金等に関する雑所得以外の所得金額が20万円以下である
妻に関しては源泉徴収されていないため、そもそも確定申告不要制度の対象になりません。 所得税が課税される基準以下となるため、納税義務は生じません。
よって、モデル年金のような標準的夫婦で、かつ公的年金以外に所得がない世帯においては確定申告は不要になるといえるでしょう。
3.3 社会保険料の特別徴収
介護保険料と国民健康保険料といった社会保険料も、要件を満たせば年金から天引きされます。
介護保険料では、年間年金受給額が18万円以上である場合に天引き対象となるため、ほとんどの人が対象です。
国民健康保険に加入する人は国民健康保険料が、後期高齢者医療制度に加入する人は、後期高齢保険料が天引される可能性もあります。