3.3 「標準的な夫婦」も年金生活者支援給付金の対象になるのか
先ほど紹介した、厚生労働省が年金例で示す「標準的な夫婦」の場合、年金生活者支援給付金の対象になるのか気になります。
というのも、夫婦の合計である月額「23万2784円」の内訳は、
- 夫の厚生年金:9万4168円
- 夫の老齢基礎年金:6万9308円
- 妻の老齢基礎年金:6万9308円
と分解できます。夫の受給額合計は16万3476円なので、年間では約196万円となり、老齢年金生活者支援給付金には該当しません。
一方、妻の年金年額は約83万円であることから、老齢年金生活者支援給付金の支給要件を満たすように思えるかもしれません。
しかし、老齢年金生活者支援給付金を受給するには「同一世帯の全員が市町村民税非課税」という要件を満たさなければなりません。
年金世帯には「211万円の壁」というものがあり、世帯主の年金収入が211万円以下であり、かつ妻の年金収入も155万以下である場合、住民税非課税世帯になる可能性があります。
上記に当てはめると、本ケースでは住民税非課税世帯に該当し、年金生活者支援給付金にも該当する可能性はあるでしょう。
しかし、「211万円の壁」は地域によって異なることから一概には言えません。気になる方は専門家等に相談しましょう。
4. 【参考】年金受給額は個人によってばらつきがある
厚生労働省が示す「モデル年金額」は、特定の夫婦の状況をもとに試算したものであるため、すべての人にあてはまるわけではありません。
現役当時の年金加入状況は個々で異なるものなので、モデル額が受け取れる人の方が少数となるでしょう。
ここからは、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、年金額の個人差について解説します。
4.1 「厚生年金」の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む