3. 高齢者の就業率は過去最高に
年金だけで老後を過ごすことが難しい場合、働き続けることも選択肢のひとつとなります。
昨今では働くシニアが増加傾向となっており、65歳以上の就業率も過去最高となりました。
2024年時点での65歳以上の就業率は25.7%に達し、前年から0.5ポイント上昇して過去最高を更新しました。年齢階級別の就業状況は以下の通りで、いずれも過去最高の水準です。
- 65歳以上:25.7%
- 65~69歳:53.6%
- 70~74歳:35.1%
- 75歳以上:12.0%
とくに、60歳代後半(65~69歳)では約2人に1人、70歳代前半(70~74歳)でもほぼ3人に1人以上が働いており、働き続けるシニアの割合は右肩上がりで推移しています。
働く理由はそれぞれ異なるものの、経済的な理由から働く人もいます。なお、働くためには健康であることが前提となることから、健康維持も老後対策のひとつと言えるでしょう。
4. まとめにかえて
男性の厚生年金受給権者において、男性単身世帯の平均消費支出の目安である月額15万円以上を受け取っている人の割合は、約6割強(66.8%)であることが分かりました。
現役時代の加入期間や報酬額に応じて、年金額は大きく変動します。受給額の分布を見ると、「17万円以上~18万円未満」がボリュームゾーンである一方で、個人差が非常に大きい実情も明らかになりました。
年金収入だけでは生活費が不足すると感じる場合、働き続けるという選択肢も重要です。ただし、年金を受給しながら働く際には、「在職老齢年金」の制度に注意が必要です。
これは、給与と年金の合計額が一定額を超えると、年金の一部または全額が支給停止になるしくみです。
働き損にならないよう、ご自身の年金額は「ねんきんネット」などで確認し、制度を理解した上で老後設計を進めることが大切になります。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告家計収支編(2025年4~6月期)」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」Ⅱ高齢者の就業
太田 彩子