4. 年金を「月20万円以上」受けとれるのはわずか16%の現実

今回のデータ分析から、日本の公的年金制度における厳しい現実が明らかになりました。

厚生年金(国民年金を含む)の受給者のうち、年金を「月20万円以上」受け取っている人の割合は、わずか16.3%にとどまっています。これは、8割以上の人が単独ではこの水準に達していないことを示しています。

4.1 現役世代が取るべき対策

総務省の家計調査が示すように、年金生活には月20万円前後(単身者で約15万円、夫婦で約25万円)の生活費が必要です。この「生活費の壁」を公的年金だけで乗り越えられる人は、ごく少数派です。

老後の生活を「公的年金頼み」にせず、現役世代である今、以下の自助努力による対策が不可欠です。

  • 長期的な資産形成: 若いうちからiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを活用し、「自分専用の2階部分」を築くこと。
  • 固定費の見直し: 退職後の生活に備え、現役時代から住宅ローンや保険料などの固定費を削減し、貯蓄率を高めること。
  • 年金制度の理解: ご自身のねんきん定期便を確認し、将来受け取れる見込み額を正確に把握し、不足分を計算しておくこと。

公的年金は生活の「土台」ですが、豊かなセカンドライフを送るためには、「自助努力」こそが最高の備えとなるでしょう。

参考資料

和田 直子