2. 老後生活をスタートしても「お金に困らない人」の5つの共通点
続いて、元銀行員である筆者の視点から、「定年後もお金に困らない人」に共通する5つのポイントを紹介していきます。
2.1 共通点1:資産運用を行っている
老後の資金を守るためには、単に「貯蓄する」だけでなく、「資産を育てる」という発想も重要です。
預金や定期預金のみに頼ると、インフレや長寿化による支出増に対応しきれない可能性があります。
その点、投資信託や株式、債券などを組み合わせた分散投資を行うことで、資産を増やせる可能性があります。
もちろん投資にはリスクが伴いますが、「長期・積立・分散」を基本とすることで、安定的な資産形成を目指しやすくなり、老後の安心につながるでしょう。
2.2 共通点2:優遇制度や支援策を積極的に活用している
国や自治体が用意している制度を上手に活用できるかどうかで、老後の家計には大きな差が生まれます。
たとえば、NISAやiDeCoといった制度では、運用益が非課税になったり、掛金が所得控除の対象になったりと、節税面で大きなメリットがあります。
また、年金や雇用関連の給付金、高齢者向けの各種手当といった支援策も存在しますが、これらは申請しなければ受け取ることができません。
自ら情報を集め、利用できる制度を選び活用していく姿勢が、定年後の経済的なゆとりにつながる重要なポイントといえます。
2.3 共通点3:年金制度を理解し、早めに試算している
老後の生活を支える柱となる年金の仕組みを正しく理解しておくことは、安心感につながります。
ねんきんネットやねんきん定期便を活用し、将来どのくらいの年金が受け取れるのかを早い段階で把握している人ほど、老後への備えを着実に進められています。
さらに、受給開始年齢を繰り上げ・繰り下げした場合の増減額を確認しておくことも重要です。
具体的な見込み額を把握することで、不足分が明確になり、その差を補うための資産運用や貯蓄計画を立てやすくなります。
老後の収入を漠然としたままにせず、数字で把握することが安心につながる第一歩です。
2.4 共通点4:支出管理を徹底している
老後の暮らしを安定させるには、「収入を増やす」ことと同じくらい「支出を上手に抑える」ことも大切です。
家計簿や家計管理アプリを活用し、日々の出費を把握・見直す習慣を持つことで、お金の流れをしっかり管理できます。
特に、保険料・通信費・サブスクリプションといった固定費は、定期的に必要性をチェックすることが効果的です。
ただし、無理な節約は生活の質を下げ、ストレスの原因になる可能性があります。
趣味や旅行といった楽しみにも適切にお金を使うことで、バランスの取れた支出管理を長く続けやすくなるでしょう。
2.5 共通点5:複数の収入源を持っている
定年後に年金だけに頼るのは大きなリスクであり、複数の収入源を持つことで安心感が高まります。
定年後も再雇用やパート、副業などで収入を得る人もいれば、資格やスキルを活かしてフリーランスとして働く人もいます。
総務省「統計からみた我が国の高齢者」によると、65〜69歳の就業率は52.0%、70〜74歳でも34.0%と高く、シニアの就労は過去最高水準に達しています。
さらに、配当金や不動産収入といった不労所得を組み合わせることで、収入の安定性を高めることも可能です。
「元気なうちは働くこと」と「資産に働いてもらう仕組みを持つこと」、この2つの柱を意識することが、安心して老後を過ごすための大きな鍵となるでしょう。