子どもの大学進学費用は、国公立で約80〜90万円、私立医歯系では500万円近くになるため、計画的な資金準備が欠かせません。祖父母からの資金援助を考える際、1500万円まで贈与税が非課税となる「教育資金一括贈与」制度が有効です。

ただし、この強力な非課税制度は令和8年3月31日までの特例措置であり、期限が迫っています。本記事で大学費用と、この期限付きの制度の仕組みと注意点を確認し、早めの対策を検討しましょう。

1. 大学初年度はいくらかかる?「国公立と私立の違い」

子どもの大学進学は、ご家庭の家計にとって大きな教育費の支出となります。具体的にどれくらいの費用が必要になるのかは、国公立大学に進むか、私立大学に進むかで大きく変わってきます。

1.1 国公立大学、初年度の目安は約80~90万円

国の定める標準額に基づいて費用が設定されている国公立大学は、比較的目安がつきやすいのが特徴です。文部科学省の調査によると、入学料と授業料を合わせた初年度の合計額は以下の通りです。

  • 国立大学:81万7800円
  • 公立大学:91万562円

注意点として、上記は純粋な学費のみです。もしお子様が実家を離れて一人暮らしをする場合は、この他に仕送り費用や生活費も別途必要になることを考慮しておくと良いでしょう。

1.2 私立大学、選ぶ学部によって大きく変わる「初年度500万円近くなることも」

私立大学の場合、選ぶ学部によって初年度の費用が大きく変動します。特に、理科系や医歯系の学部では高額になる傾向があります。文部科学省の調査(令和5年度)によると、大学入学初年度にかかる学生納付金(入学金、授業料など)の平均額は以下の通りです。

  • 文科系学部:119万4841円
  • 理科系学部:153万451円
  • 医歯系学部:482万1704円
  • その他学部:146万542円
  • 全平均:136万5281円

医歯系学部では初年度に約482万円と、500万円近くの費用がかかる結果となっています。私立大学の学費は年々上昇傾向にあるため、特に私立大学への進学を想定する場合は、学部に応じた計画的な資金準備が重要ということがわかりますね。

以上をふまえて、大学進学に向けた初年度費用は国公立大学でも最低限約100万円を準備しておくと安心といえます。私立大学の場合は、平均で140万円前後、医歯系学部では初年度だけで500万円近くを目安とした資金計画が必要です。まずは、志望する進路(国公立・私立、学部)を家族で共有し、それに基づいた具体的な目標額を設定して準備を始めることが大切です。