コンビニエンスストアにおける成人向け雑誌販売中止の動きが加速しています。
きっかけは、一昨年(2017年)の秋に業界第4位のミニストップが販売中止を表明したことです。その後、2018年1月から全国のミニストップ店舗で成人向け雑誌の販売が取りやめとなりました。
さらに、今年(2019年)に入ってから最大手のセブン・イレブンと業界第3位のローソンが販売中止(8月末を予定)を決定します。そして、成人向け雑誌販売中止に慎重なスタンスを取っていた業界第2位のファミリーマートも、同じ8月末からの販売中止を決定しました。
こうした成人向け雑誌販売中止に踏み切る背景として、訪日外国人旅行客からの批判、青少年への悪影響排除、女性客・女性店員への配慮などが挙げられています。
なぜ、今になってここまで進むのか?
しかし、ちょっと待って下さい。これらの理由だけで成人向け雑誌販売中止がこんなに急速に進むものなのでしょうか?
実際には、成人向け雑誌を子供でも手に取って見られる状況で販売していることに対する批判は従前からありました。しかし、そうしたクレームにもかかわらず、長年にわたって販売していたのは、相応の需要や必要性があったからと考えるのが普通です。
突然、モラルを前面に打ち出すのに違和感がある人も少なくないのではないでしょうか。
コンビニ雑誌販売の当初の目的は?
その要因の1つとして、コンビニで雑誌を取り扱う意義が大きく変化したことが挙げられます。
ご存じの方も多いとは思いますが、地下店舗や駅中店舗など一部を除くと、コンビニにおける雑誌販売の場所は、入り口付近の外から見える場所でした。今もほとんどがそうなっているはずです。しかも、今から15~6年くらい前までは立ち読みが黙認されていました。コンビニで漫画雑誌等を立ち読みした経験がある人も多いはずです。
実は、立ち読みを黙認していたことで、大きな防犯効果を持っていたのです。外から見える場所に常に多くの人(=雑誌の立ち読み)がいることで、少なからずコンビニ強盗の抑止力になっていたことは確かでしょう。また、その防犯効果とは別に、雑誌販売も伸びていました。
雑誌は委託販売という形になるので、正直なところ、利幅は薄いというか、ほとんどありません。ただ、雑誌を購入するお客さんの“ついで買い”が見込めることで、コンビニにとって雑誌の取扱いは相応の必要性があったと考えられます。
激減するコンビニでの雑誌販売
しかし、近年になると、雑誌販売の環境が一転します。まず、雑誌立ち読み客のマナー悪化(書き込み、汚す、景品ポスターや応募はがきを持ち去る、長時間の滞在など)が問題となりました。その結果、現在ではほぼ全ての雑誌がヒモで縛られて開けない(=立ち読みできない)状態にあります。
そこにネット販売の急速な普及が追い打ちとなり、2017年度のコンビニにおける雑誌販売は、15年前の2002年度に比べて約30%水準(約▲70%減)に落ち込んだというデータもあります。当然、雑誌を買い求めに来るお客さんの“ついで買い”も期待できません。