秋が深まる10月は、偶数月のため年金支給日を迎える方も多いでしょう。そんな公的年金の中でも障害年金は、病気やケガで日常生活や仕事に制限が生じたときに支えとなる大切な公的年金です。対象となる病気は、視覚・聴覚・肢体障害だけでなく、長期療養が必要ながんや糖尿病などの内部疾患、精神疾患など多岐にわたります。
しかし、支給されても「一生もらえる」わけではなく定期的な見直し(更新)のしくみがあり、さらに近年は審査の公平性が問われるなど、制度への関心が高まっています。本記事では、この障害年金がどのような病気を対象とし、「なぜ一生もらえるとは限らないのか」という更新の仕組みや、具体的な支給額について詳しく解説します。
1. 【障害年金】「一生もらえるとは限らない」新規裁定は3年以内の短期更新が多い?
障害年金の給付プロセスには、初めて申請して受給の可否が決まる「新規裁定」と、すでに受給中の人が継続の可否などを判定される「再認定」があります。
障害年金は、一度認定されたらずっと自動的に「一生もらえる」わけではありません。症状が改善していないか、または悪化していないかを定期的にチェックするため、原則として数年ごとに診断書を提出して「再認定」を受ける必要がある場合が多いのです。
日本年金機構が令和6年9月に発表した「障害年金業務統計(令和5年度決定分)」より、この更新期間ごとの支給件数をみていきましょう。
1.1 【新規裁定】は「3年以内」の短期更新が多い
【新規裁定】で初めての申請で受給が認められた際、「〇年後に再度診断書を提出してください」と更新期間を設定されます。中には、症状が固定され今後の改善が見込めないと判断される「永久固定」もあります。
令和5年度【新規裁定】更新期間別支給件数 ※()カッコ内は割合
- 障害基礎・厚生年金の合計支給件数:13万3215件
- 更新期間1年:2833件(2.1%)
- 更新期間2年:3万7928件(28.5%)
- 更新期間3年:4万1794件(31.4%)
- 更新期間4年:576件(0.4%)
- 更新期間5年:3万8897件(29.2%)
- 永久固定:1万1187件(8.4%)
新規裁定で支給が決定したケースでは、更新期間が「2年」または「3年」と設定された件数が全体の約60%を占めています。このことから、受給者の障害の状況が時間経過によって変化する可能性を考慮し、比較的短い期間で状態を再確認する必要があると判断されていることが分かります。
次に、【再認定】の更新期間についてみていきましょう。