3. 住民税非課税世帯、世帯分離は慎重に検討するように
高齢のご両親と同居している場合、医療費や介護費の自己負担軽減を目的に世帯分離を検討することもあります。世帯分離により、親の世帯が住民税非課税世帯と判定されれば、各種行政サービスで優遇を受けられるのが主なメリットです。
しかし、世帯分離の要件は生計が別であることのため、これによって親に対する税法上の扶養控除を受けられなくなり、税負担が増えるというデメリットが生じます。また、会社からの扶養手当が打ち切られたり、医療費・介護費の世帯合算ができなくなりかえって費用が増加したりする可能性もあります。
世帯分離は実態に合わせて行う必要があり、メリット・デメリットを総合的に理解した上で慎重に検討することをおすすめします。また、ご自身の世帯が住民税非課税世帯の条件にあてはまるのか気になる場合は、お住いの自治体窓口でたずねてみてはいかがでしょうか。
4. 住民税非課税世帯、制度の正しい理解が今後の暮らしを守ることに
今回は住民税非課税世帯の具体的な条件と、それに伴う優遇措置について解説しました。特に、医療費や介護費の負担を大幅に軽減できる優遇は、いざという時の大きな安心につながります。公的制度を知っているかどうかで、毎月の保険料や将来の負担額が大きく変わってくるのです。
ただし、介護費用などの軽減を目的に安易に世帯分離をすることは、税法上の扶養控除という大きな節税メリットを失う可能性があるので注意が必要です。どちらのメリットが大きいか、事前に専門的な知識を持って比較検討することが、結果的に賢い家計管理につながります。
暮らしを守る公的な制度を自分事として調べ、行動を起こすことで家計の不安は解消に向かうはずです。ご自身の世帯が住民税非課税世帯となるか分からない場合は、お住いの自治体窓口でたずねてみるのもおすすめです。
参考資料
- 世田谷区「非課税制度」
- 江東区「国民健康保険料の軽減」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 東京都国民健康保険団体連合会「国民健康保険制度について」
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料」
椿 慧理