10月に入り、秋の気配が日ごとに深まってきました。家計の見直しや年末に向けた準備を始める方も多いのではないでしょうか。そんな中で、注目したいのが「住民税非課税世帯」という区分です。
これは、所得や世帯構成など一定の条件を満たした場合に、住民税が課されない世帯のこと。
非課税世帯になると、医療費や介護保険料の軽減、給付金など、さまざまな支援を受けられる可能性があります。
本記事では、住民税非課税世帯となるための要件や収入・所得の目安をわかりやすく解説。自分や家族が該当するかどうか、秋の家計見直しの一環としてチェックしてみましょう。
1. 【住民税非課税世帯】過去には給付金支援も実施された
公的支援の対象として頻繁に登場する「住民税非課税世帯」。コロナ禍以降、この区分を対象とした給付金の支給が相次いで実施されています。
これらの支援策は、物価高騰の影響を特に受けやすい世帯の生活を下支えするもので、多くの場合「1世帯あたり数万円」の給付に加え、子育て世帯には子ども1人あたりの加算がおこなわれるといった内容になっています。
このように、各種の公的支援において「住民税非課税世帯」は、対象者を判断するための重要な基準となっています。
【ご注意】2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)に盛り込まれた「住民税非課税世帯」を対象とする「3万円給付金」は、2025年1月以降、各自治体で順次給付作業がスタートし、現在、多くの市区町村ですでに終了しています。
なお、給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。
お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
2. 「住民税非課税世帯」ってどんな世帯?
住民税は、所得に関係なく一律課税される「均等割」と、所得に応じて税額が決まる「所得割」の2層構造です。
均等割・所得割どちらも課税されないことを「住民税非課税」と言います。そして「住民税非課税世帯」とは、世帯全員が住民税非課税となる世帯のことです。
※なお「住民税の所得割のみ非課税となるケース」もあります。ただし今回の給付金など、各種支援の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
3. 「住民税非課税」となる3つのケース
下記3つのいずれかに該当する場合に、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市区町村などの基準を下回る
1と2の項目は全国共通ですが、3は市区町村ごとに異なる基準が定められています。
4. 【大阪市の例】住民税非課税世帯になる「所得・収入」のボーダーライン
住民税が非課税となる所得要件は自治体ごとに異なります。ここでは大阪市を例に見ていきましょう。
4.1 「住民税非課税世帯」となるボーダーライン(所得要件)(大阪市)
前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下となる人
(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下の人が該当)
大阪市の住民税非課税限度額は、単身世帯であれば「前年の合計所得45万円以下」です。
同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合は「101万円以下」、2名の場合は「136万円以下」のように上がっていきます。
ただし「所得」は、収入から各種控除が差し引かれたあとの金額です。次は、この基準を「収入ベース」に換算した金額も見ていきましょう。
4.2 「住民税非課税世帯」となる収入目安
単身世帯の場合
前年度の所得合計:45万円以下
- 給与収入が100万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合
前年度の所得合計:101万円以下
- 給与収入が156万円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が171万3334円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が211万円以下
同一生計の配偶者や扶養親族が2名の場合
前年度の所得合計:136万円以下
- 給与収入:205万9999円以下
- 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が218万1円以下
- 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が246万円以下
非課税限度額は収入の種類や、世帯構成により変動します。また、年金収入のみの場合は、65歳未満より65歳以上のほうが、非課税となるラインがぐんと上がります。
現役時代よりも収入が下がるケースが一般的であること、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金の最低控除枠が多くなっていることなどからも、シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」に当てはまりやすいと言えるでしょう。
5. ”住民税課税世帯”率は60歳代で約8割、70歳代で6割、80歳代で5割と、シニアほど減少
厚生労働省の「令和6年国民生活基礎調査」でも、住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では90%弱だったものが、60歳代79.8%→70歳代61.3%→80歳代52.4%と、シニアほど低くなっています。
ただし、住民税非課税世帯の判定基準に用いられるのは「所得」のみです。「年金額は多くないが、預貯金などの金融資産がある」というシニア世帯が一定数含まれている点には留意が必要です。
一方で、シニアの生活実感に目を向けてみると、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
さらに年金ではゆとりがないと考える世帯の約6割が、物価上昇による支出増を懸念。次いで、医療費や介護費の個人負担増に対する不安感が見える結果となりました。
6. 【最新】平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年に
平均余命とは、特定の年齢の人々が「あと何年生きられるか」を示す期待値です。
そして、私たちがしばしば使う「平均寿命」という言葉は、「(現時点での)0歳の平均余命」を指します。
2025年7月25日に厚生労働省が公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。
また、平均寿命の長期的な推移を見ると、男女ともに着実に延びています。
- 昭和30年(1955年) 男63.60 女67.75 男女差4.15
- 昭和40年(1965年) 男67.74 女72.92 男女差5.18
- 昭和50年(1975年) 男71.73 女76.89 男女差5.16
- 昭和60年(1985年) 男74.78 女80.48 男女差5.70
- 平成7年(1995年) 男76.38 女82.85 男女差6.47
- 平成17年(2005年) 男78.56 女85.52 男女差6.96
- 平成27年(2015年) 男80.75 女86.99 男女差6.24
- 令和6年(2024年) 男81.09 女87.13 男女差6.03
長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。
7. 低金利・物価上昇時代、資産運用をどう取り入れる?
今回は「住民税非課税世帯」となる要件や収入・所得の目安などを解説してきました。
最近は物価高の影響もあり、政府からさまざまな支援策が打ち出されていますが、このような支援はあくまで一時的なものと考えておいたほうが良いでしょう。
一方で、低金利が続く中、効率的にお金を増やすために資産運用を始める人も増えています。特に、NISAやiDeCoといった国の制度が整い、利用しやすくなってきました。
ただし、運用にはリスクがあるため、自分に合った方法を見つけ、無理のない範囲で取り組むことが大切です。制度を上手に活用しながら、将来に備えていきましょう。







