厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、2024年の平均寿命は女性87.13年、男性81.09年。人生100年時代といわれるいま、40歳代・50歳代のおひとりさまにとって、これから先の暮らしを支えるお金は気になるテーマではないでしょうか。
人生100年時代といっても、その中で収入の状況は年代によって異なります。特に40歳代、50歳代は生涯の中でも収入が上がりやすいもの。もちろん老後資金を貯めるには長期的、かつ計画的な貯蓄が重要ですが、「40歳代、50歳代でいかに備えるか」が老後資金を左右する面もあるでしょう。
今回は、40歳代・50歳代のおひとりさまの平均貯蓄額と中央値を確認したうえで、「貯まる人」と「貯まらない人」の違いを金融機関で勤めていた筆者が解説します。
1. この記事を読んだら最後にわかる3つのポイント
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年代別の所得の平均をみることで「人生の貯め時」を知る -
実際に【40歳代・50歳代】おひとりさまの「貯蓄ゼロ以上の人」「貯蓄2000万円以上の人」の割合をみる -
元証券会社社員が解説する、「老後資金のために40歳代・50歳代でしておきたいこと」を確認する
2. 【最新】40〜50歳代の所得は平均でいくらか
働き盛りの40歳代・50歳代は、現役世代の中で収入が最も増えやすい年代です。ご自身の家計は平均と比べてどうなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。2026年7月15日に公表された厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」からみていきましょう。
本調査は二人以上世帯、単身世帯込みとなりますが、世帯主の年齢階級別に1世帯あたり平均所得をみると、「40〜49歳」が761万8000円、「50〜59歳」が814万6000円で、年代別の所得を見ていると50歳代は全年齢で最も高くなります。
貯蓄も同じように現役世代は年代が上がるごとに増えており、1世帯あたり平均貯蓄額は40歳代が900万3000円、50歳代が1243万8000円です。収入の増加とともに、蓄えも着実に増えていく様子がみてとれます。
一方で、見落とせないのが借入金です。1世帯あたり平均借入金額は40歳代が991万円と、30歳代の1039万9000円に次ぐ高さで、50歳代の552万1000円を大きく上回ります。住宅ローンなどが重なりやすい40代は、貯蓄よりも借入のほうが多く、家計の余力が見えにくい時期だといえます。裏を返せば、借入が減っていく50代こそ、老後に向けた備えを加速させるよいタイミングとはいえるでしょう。
では次に単身世帯に視点をあてた貯蓄額を見ていきましょう。
3. 【40歳代・50歳代】おひとりさまの「貯蓄ゼロ以上の人」「貯蓄2000万円以上の人」の割合は?平均・中央値も
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
3.1 40歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
- 40歳代単身世帯:平均859万円/中央値100万円
平均859万円に対し、中央値は100万円。平均が中央値を大きく上回るのは、一部に蓄えの多い人がいるためです。貯蓄がない人は32.1%とおよそ3人に1人、2000万円以上を持つ人も12.7%おり、蓄えの差がはっきりしています。
3.2 50歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
- 50歳代単身世帯:平均999万円/中央値120万円
平均999万円、中央値120万円。貯蓄がない人は35.2%と、この年代で高くなります。一方で2000万円以上を持つ人も15.9%おり、老後を目前に、蓄えのある人とない人の差がいっそう広がっています。
40歳代・50歳代のおひとりさまは、いずれも中央値が100万円台にとどまる一方で平均は800万〜1000万円台と、両者の開きが大きいのが特徴です。中央値でみれば、多くの人は「これから」の段階。だからこそ、貯め方の見直しがこれからの蓄えを左右します。
4. お金が貯まる人と貯まらない人、何が違う?
同じくらいの収入でも、蓄えが増える人となかなか増えない人がいます。その違いは、才能や我慢の量ではなく、日々の「仕組み」と「意識の向け方」にあることが多いものです。ファイナンシャルプランナーの視点から、3つの違いを挙げてみます。
一つ目は、家計を「見えるようにしているか」です。貯まる人は、毎月の収入・支出・貯蓄残高をおおまかにでも把握しています。数字が見えると使いすぎに早く気づき、調整できます。
お金に関する不安を抱える人は多いものの、「数字として見える化できるもの」ではあるため、しっかりと見える化して常に現状把握するといいでしょう。
二つ目は、「先に貯めているか」です。貯まる人は、収入が入った時点で一定額を貯蓄へ回し、残りで生活します。反対に、使ったあとの残りを貯めようとすると、なかなか手元に残りません。
三つ目は、「目的を持っているか」です。「◯歳までに◯◯万円」「老後の予備費に」といった目的があると、貯蓄が続きやすくなります。
目標と現状に乖離がみられれば、それに対する対策も立てやすくなるでしょう。たとえば固定費を減らす、収入を増やす、預貯金だけでなく資産運用を取り入れて効率をあげるなどの具体策も考えやすくなります。
老後など長期の目的には新NISAなどの制度を活かす選択肢もありますが、投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、生活防衛資金を確保したうえで無理のない範囲で考えたいところです。
5. 元証券会社社員のアドバイス
40歳代・50歳代おひとりさまの貯蓄は中央値が100万円台にとどまる一方で2000万円以上を持つ人もおり、蓄えの差は小さくありません。ただ、中央値でみれば多くの人は「これから」の段階であり、50歳代での貯蓄が重要です。本文でふれた「見える化・先取り・目的」を土台に、今日から動かせる具体的な一歩を元証券会社出身の立場から3つ挙げておきます。
まず「ねんきんネット」に登録して、自分が将来受け取れる年金の見込み額を確認すること。老後にいくら足りなくなりそうかの目安がつかめ、貯蓄の目標額を決めやすくなります。
次に固定費を1つ見直すこと。スマホを格安プランに変える、重複した保険を整理する、使っていないサブスクを解約する—どれも一度手を動かせば、その節約効果は毎月ずっと続きます。現役時代から老後まで節約効果は続くので、こちらはしっかりと確認し、年に1回は見直すようにしましょう。新たなサービスが出る場合もあります。
そしてボーナスや臨時収入の使い道を「先に」決めること。手元に入ってから考えると使い切りがちですが、受け取る前に「何割を貯蓄に回すか」を決めておくと、無理なく蓄えを増やせます。
ひとりの老後は長く続きます。まずはこの3つのうち、いちばん取りかかりやすいものを1つ、この夏試してみませんか。
参考資料
宮野 茉莉子



