食料品や光熱費の値上がりが続き、家計のやりくりが難しくなっている人は少なくありません。
こうした状況を踏まえ、2025年10月から生活保護の「生活扶助」が特例的に引き上げられることになりました。1人あたり月1000円だった加算額が1500円に増え、当面の生活費を支えるための措置です。
さらに、寒冷地では冬季の光熱費を補う「冬季加算」もあり、世帯人数や地域によって金額が変わります。
本記事では、生活扶助の仕組みや今回の改定内容、冬季加算の概要をまとめ、実際にどのように支援が拡充されるのかを解説します。
1. 「生活保護」と「生活扶助」とは?
まずは、「生活保護」と「生活扶助」の概要についておさらいしておきましょう。
1.1 生活保護とは?
そもそも「生活保護」とは、病気や失業などさまざまな事情によって生活が困難になった人に対し、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を支援する制度です。
生活保護は、以下の条件等を満たした上で、世帯の収入が国の定める保護基準額(最低生活費)に満たない場合に利用できます。
- 能力の活用:働ける能力を最大限活用すること
- 資産の活用:預貯金や不動産など生活維持に使える資産を利用すること
- 他制度の活用:年金や各種手当など他の制度を先に利用すること
1.2 生活扶助とは?
生活保護のうち、食費や光熱費など日常生活に必要な費用をまかなうのが「生活扶助」です。生活状況や必要性に応じて、8種類の扶助が用意されています。
- 生活扶助:食費・被服費・光熱水費など、日常生活に必要な費用
- 住宅扶助:家賃、間代、地代など住居に関する費用
- 教育扶助:義務教育に必要な費用
- 医療扶助:治療や療養に必要な医療費
- 介護扶助:介護保険サービス利用に必要な費用
- 出産扶助:出産に要する費用
- 生業扶助:小規模事業や技能習得に必要な費用
- 葬祭扶助:葬儀に必要な費用
これらのうち、実際に生活保護の対象となる世帯が必要とするものが支給されます。ただし、その費用がすべて補われるとは限りません。
さらに、医療扶助や介護扶助などは現金での支給ではなく、病院や施設へ直接支払われる仕組みになっています。