秋の気配が深まり、寒さが本格化する季節になると、どうしても暖房代などの生活費が気になってきます。そんな負担を少しでも和らげるために設けられているのが、生活保護制度の「冬季加算」です。
冬季加算は、冬の光熱費や暖房費の増加を見越して支給される公的な支援で、地域や世帯人数に応じて金額が決まります。
この記事では、冬季加算の仕組みや支給額、制度が作られた背景を整理しながら、国のセーフティネットがどんな役割を果たしているのか、一緒に見ていきたいと思います。
1. 生活保護を受けている人はおよそ「198万人」
生活保護とは、病気や高齢など様々な事情で収入が減り、年金や貯蓄などあらゆる手段を使っても生活が困難になった場合に、国が定める最低限の生活費を保障する制度です。このことから、暮らしを支える「最後のセーフティネット」と言われています。
なかでも、物価高を背景に年金や貯蓄だけでは生活が厳しく、暮らしに困難を抱える高齢者が増えています。
厚生労働省が2025年9月3日に公表した最新の調査結果から、生活保護と高齢者の現状について見ていきましょう。
厚生労働省が公表した最新の「生活保護の被保護者調査(令和7年6月分概数)」によると、2025年6月時点で生活保護を受けている人は全体で198万8497人(前年同月比2万1735人減)、総世帯数は164万5202世帯(同5443世帯減)と、受給者・世帯数ともに前年より減少しています(※保護停止中を含む)。
一方で、保護の申請件数は2万897件と、前年同月より797件増加しており、新たに支援を求める人が増えている状況もうかがえます。
- 被保護実人員数(※保護停止中を含む):198万8497人(前年同月比2万1735人減)
- 被保護実世帯数:164万5202世帯(前年同月比5443世帯減)
- 保護申請件数:2万897件(前年同月比797件増)
特に深刻なのは高齢者の状況です。全受給世帯のうち、高齢者世帯は90万4538世帯にのぼり、全体の55.3%と半数以上を占めています。この高齢者世帯数も前年同月比で4785世帯、前月比では1423世帯減少してはいるものの、依然として極めて高い割合であることに変わりありません。
- 高齢者世帯数:90万4538世帯
- 全体に占める割合:55.3%
- 前年同月比:4785世帯減(0.5%減)
- 前月比:1423世帯減
高齢者世帯が生活保護制度の大半を占めており、現在は微減傾向にあるものの、高齢化の進行に伴う制度の重要性は変わりません。年金制度の充実や医療費負担軽減など、総合的な対策が必要とされています。