4. 所得が一定基準額以下の年金受給者が受け取れる「年金生活者支援給付金」とは?

ここまで見てきたように、現役時の加入内容によって老後の受給額には大きな差が生じます。

将来の年金が少なくなる可能性がある場合は、老後資金の計画的な準備に加えて、利用できる公的支援について理解しておくことも重要です。

たとえば、低所得の受給者を対象とした年金生活者支援給付金のほか、医療費が高くなった際の高額療養費制度や、介護が必要になった場合の介護保険制度など、様々な支援策があります。

本章では、このうち「年金生活者支援給付金」について紹介します。

4.1 「年金生活者支援給付金」はどんな給付金?

年金生活者支援給付金は、年金収入などが一定水準より低い人を対象に、年金の支払いにあわせて上乗せ分が受け取れる制度です。

たとえば老齢年金生活者支援給付金の場合、以下の支給要件をすべて満たしていることが必要となります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額※1 とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下※2 である。

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?
老齢年金生活者支援給付金は、一定所得以下の受給者を対象とした制度ですが、基準額をわずかに上回ると支給されず、結果的に基準内の人よりも総所得が低くなるという逆転現象が生じる課題がありました。
この問題を解消するために設けられたのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。基準額を超えていても一定の範囲内であれば受給可能であり、所得が増えるほど段階的に給付額が減っていく仕組みになっています。

老齢年金生活者支援給付金の基準額は、2025年度で月5450円となっています。

ただし、保険料を納めた期間が40年(480カ月)に達していない場合は、その不足分に応じて減額されます。

また、この給付金は要件を満たしていても、自ら申請しなければ受け取れない点に注意が必要で、自動で振り込まれる仕組みではありません。

該当する可能性がある人には、日本年金機構から請求書や案内が届くため、内容を確認したうえで必要事項を記入し、提出しましょう。