7. 【60歳代・70歳代】約3割は年金だけで「日常生活費程度もまかなうのが難しい」
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が2024年12月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」では、60歳代・70歳代の二人以上世帯において、60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
7.1 「年金にゆとりがない」と感じる理由
年金にゆとりがないと感じる理由としては、物価上昇や医療費・介護費負担の増加が上位に挙げられます。
完全リタイア後の老齢年金世帯は、現役時代に比べて収入が減少するのが一般的です。そのため、家計への負担感は今後も増していくことが予想されます。
また、現役時代は毎月給料日があったものの、老後の年金は「偶数月に2カ月分まとめて支給」となるため、家計管理のサイクルも変化します。
年金支給のサイクルに合わせ、日ごろの生活費のやりくりに工夫を加える必要があるでしょう。
8. 物価高を見越したうえで「老後資金の計画」を立てておくことが大切です
ここまで、65歳以上無職世帯の「平均貯蓄額・1カ月の生活費・年金月額」はいくらなのかご紹介しました。
また「世帯主が65歳以上の有職者世帯」も含めた貯蓄の平均値・中央値についても解説しました。
2025年度の公的年金は前年度と比べ1.9%増額改定されましたが、物価の上昇には追い付いていません。
帝国データバンクの調査によると、食品主要195社における「2025年9月の飲食料品値上げ」は1422品目となっており、2024年9月より0.6%増えています。
なお、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1カ月の生活費で「毎月平均約3万円の赤字」が出ており、老後の生活が厳しい状況にあることがわかりました。
物価高を見越したうえで「年金の見込額」や「老後の生活費」を確認し、老後資金の計画を立ててみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「第3 家計調査の貯蓄・負債編の見方」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- ←J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年9月
安達 さやか