7. 「年金制度改正」で働くシニアの生活はどう変わる?
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大が盛り込まれました。
いわゆる「106万円の壁」の撤廃に繋がる大きな動きと言えます。
7.1 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
2025年6月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者の人が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(←いわゆる「106万円の壁」に関連)
- 従業員数51人以上の企業で働いている
今回の改正では、このうち「賃金要件の撤廃」と「企業規模要件の撤廃」が盛り込まれました。これにより、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、いわゆる「106万円の壁」が3年以内に廃止されることになります。
また、社会保険に加入する企業規模も、10年かけて段階的に拡大され、最終的には働く企業の規模に関わらず加入するようになります。
8. 年金以外の「第2の柱」をつくろう
ここまで、公的年金の基本的な仕組みや年金の平均受給額について整理してきました。
年金が老後の家計を支える中心的な収入源となる以上、自分がどの程度受け取れるのかを事前に把握しておくことは欠かせません。
ただし、年金だけでゆとりある暮らしを実現するのは難しいのが現実です。そのため、多くの人が貯蓄や投資などを組み合わせて「第2の柱」を築こうとしています。
特に、NISAやiDeCoといった制度は、税制のメリットを享受しながら資産を育てられる仕組みとして注目されています。一方で、どの商品を選ぶかによって成果やリスクの大きさは変わってきます。
大切なのは、自分がどの程度のリスクを取れるのかを冷静に見極めることです。そのうえで、長期的に無理なく続けられる方法を選ぶことが、安心できる老後への第一歩になるでしょう。